手術を何度受けても切れ痔を繰り返す理由

(2019年5月10日加筆修正)

庄屋と小作、本家と分家などの風習が根強く残っている環境で生まれ育った超田舎者の佐々木みのりです。

当院は自由診療です。

だからというわけではないのでしょうが、痔が治らず色々な施設を転々としてから来られる方も多いです。

痔の手術を受けたのに何度も痔を繰り返している人も多いです。

中には何度も手術を受けている方もおられます。

何度受けても同じです。

だって手術だけ受けて便通を直してないんですから・・・。

せっかく痛い思いをして手術を受けたのに、先生から痔は治ったと言われても、痛みや出血、違和感、不快感は全然無くならない・・・と、困り果てて受診される患者さんも多いです。

痔になった原因である便通や排便習慣を改めなければ何度でも痔になります。

手術しても便通は直りません。

そこは自分で努力して変えないと、いや、自分が変わらなければならないのです。

切れ痔の手術を受けたけれど、また切れ痔を繰り返していた患者さん

何年もの間、おしりの痛みに悩んでいる人が多いですね。

関東地方からもたくさん患者さんが受診されます。

地元の肛門科に通院し切れ痔が悪化したため手術を受けたのに、また切れ痔を繰り返す・・・。

意を決して手術まで受けたのに、また切れ痔を繰り返すと、もう自分の肛門は何をやっても治らないんじゃないかと思ってしまいますよね。

そうなると精神的にも参ってしまいます。

毎朝排便があるものの、出始めが硬く痛い排便。

痛くないスッキリした排便はどんな感じだったか、忘れてしまうほどに。

私のブログに出会い、引き込まれるようにブログを読み「そうだったんだ!これ、まさに私のことだ!!」とすぐに受診を決意されました。

「もっと早く、みのり先生のブログに出会いたかった。」とよく言われます。

診察の時も想いを伝えたいと意気込み、泣きそうになりながら話される患者さんも多いです。

診察の結果、悪いのはお尻じゃなくて自分の行動ということが分かり、お尻に良くないことをしてきたなぁと皆さん、反省されます。

診察すると予想通り便があります。

今朝、ちゃんと排便してきたのに・・・です。

しかもコロッとした硬い便です。

その便は診察で出さなければ明日出たはず・・・。

明日になると、もっと水分が直腸から吸収され古くなって硬くなっていますからね。

「これが毎朝もっと硬くなって私のお尻を切っていたんですね」と患者さんも出した便を見て納得。

手術しても痛みが残っている、薬を続けても治らない。

何に気を付けて生活したら成果が出るのか分からない・・・

そんな不安がなくなったと喜んで帰って行かれました。

 

すごく悩んで精神的にも参っておられる患者さんだと伝えたいことがまとまらず、分からなくなってしまうこともよくあります。

でもね、うまく言葉に出来なくても気持ちは不思議と伝わるものです。

話す内容よりも、患者さんの言動で思いや感情は分かったりします。

だからちゃんと伝えなきゃ!とか言葉を選んで話さなければ!と身構える必要もありません。

パニックになってしまってるのなら混乱した状態でいいです。

しどろもどろでワケが分からない状態でも大丈夫です。

患者さんの言葉以上におしりが語ってくれますから😅

コミュニケーションって決して正しく適切な言葉がなければ成り立たないものではないので、ありのままの状態でいいんですよ。

痔の原因となった便通を直さなければ何度でも痔を繰り返す

この患者さんは、ちゃんと地元の専門医にかかっておられ、適切な手術を受けておられました。

でも手術をしても便通は直りません。

だからまた切れ痔を繰り返し排便がつらいものになっていました。

以前の記事にも書きましたが、手術をしても切れない肛門になるわけじゃないので、便通を直さなければ何度でも切れ痔を繰り返すわけです。

だから痔の根本治療は手術ではなく痔の原因となった便通を直すことだと常々、患者さんに説明しています。

痔は長年の便通や排泄の結果なので、そこを改めなければ何度でも痔を繰り返します。

便通や排泄を改めることなく手術を受けても、薬を使い続けても、肛門はまた壊れてしまいます。

痔が治ったら通院は終わりますが、便通の管理は続けなければならない

この患者さんも2回目に来られた時には切れ痔は完治。

治療終了となりました。

年に1回、おしり検診で会いに来て下さっています♥

遠方の患者さんでも年に1回のお尻検診を楽しみに、旅行を兼ねて来て下さっている人も多いです。

中には家族連れで旅行ついでに来られる患者さんもおられます。

治ったら肛門科の通院は終わりです。

でも治療は終了しても便通の管理は一生の仕事。

患者さんが生活の中で続けていく必要があります。

これも習慣にしてしまえばしんどくないです。

それがうまくいってるかどうかのおしりチェック。

最近は痔で困っている人と同じくらい、痔が治った健康な人が「年に1回のお尻検診」に来られるケースが増えてきました。

いつかここが、痔が治って元気な人があふれかえる診療所になればいいな♪

そんな夢を抱きつつ、診療をさせて頂いています。

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