肛門のかゆみについて

肛門のかゆみはしつこいケースが多く、数年以上の長期間にわたって悩んでおられる患者さんもいます。病院に受診しても調子が良いのは短期間だけで、またかゆくなっていつまで経ってもスッキリと治らないことが多いようです。そもそも、肛門科に行けば良いのか、皮膚科の方が良いのか、それすらハッキリ分からないと多くの患者さんが感じておられるようです。

実際その通りで、肛門科でも皮膚科でもほとんどの施設では肛門のかゆみの治療には手を焼いておられます。肛門のかゆみの治療には肛門科と皮膚科、両方の知識と経験が必要だからです。

当院の副院長である佐々木みのりは元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科医です。当院は肛門の皮膚疾患を得意としており、肛門のかゆみに対しても多数の治療経験を持っています。

肛門のかゆみの原因

かゆみが主な症状である病気のなかで、最も多いのは肛門そう痒症です。
2番目に多いのは・・とは言っても、ぐっと少なくなりますが・・真菌症です。

一方、かゆみが主症状ではありませんが、大切なのが痔ろうによるかゆみです。
また皮膚のガンによってかゆい場合があります。

  • 肛門そう痒症の写真
    (※注意 肛門患部の写真が開きます)

    肛門そう痒症

    大半の肛門のかゆみは肛門そう痒症により起こります。
    肛門そう痒症とは、掻くからかゆい、かゆいから掻く・・の悪循環が主症状の病気です。最終的に皮膚はボロボロの傷だらけになりますが、傷だらけは体内の病気が原因ではなく、自分自身で掻きむしった結果の単なる外傷です。

    初期は夜お布団に入るとかゆい、お風呂に入るとかゆい、といった夜間のかゆみではじまり、段々日中や仕事中にもかゆみを感じるようになります。夜中にかゆみで目が覚めて寝不足になったり、寝ている間に掻いてしまうので朝起きると指先が血まみれ、なんていう人もいます。市販の薬や病院に受診して薬をもらっても、再発を繰り返す人が多いです。

    かゆみのきっかけは出口の便秘であることがほとんどです。出口に残った便の直接刺激と、汚れをキレイにするために拭きすぎ・洗いすぎになり皮膚バリアが破れさらに皮膚が弱くなるというしくみでかゆみが起こります。そして一度掻いてしまうと、悪循環が始まるわけです。

    治療は軟膏治療によりかゆみを止めて掻かないようにして、掻きキズが治るまでの時間を稼ぐこと。そして原因となる出口の便秘の治療です。当院では軟膏治療としてステロイド剤を徐々に減らす漸減療法を提唱しており(原著論文あり)、ステロイド軟膏を完全に止められるまで指導しています。

  • 肛門の真菌症

    真菌とは水虫やカンジダの仲間です。真菌が肛門の皮膚に感染してかゆみの原因になることがあります。昔の教科書には「肛門のかゆみ=真菌症」と記載されていましたが、当院の経験では肛門の真菌症は少数です。

    なお、肛門や会陰部分では真菌症は常在菌として存在しています。検査で肛門の皮膚から真菌が検出された場合も、かゆみの原因が真菌かどうかは分かりません。

    当院では真菌症特有の外観から診断をつけるケースが大半です。抗真菌剤の軟膏で治療します。なお、肛門そう痒症で使用するステロイド剤は抗真菌剤と一緒に使用すると効果を弱め合う性質があるため、同時使用は避けます。

  • 痔ろうのかゆみ

    痔ろうは肛門が化膿する病気です。膿が出るのは痔ろうの主な症状のひとつです。膿の量が多ければべたつきとして膿を感じるのですが、膿が非常に少ない場合は刺激でかゆいだけという場合もあります。

  • こわいかゆみ

    肛門そう痒症だと思っていたら、皮膚のガンだったというケースがあります。肛門の「かゆみ」「ただれ」が、どんな治療をしても改善しない場合には皮膚科で検査する必要があります。

痔の種類と治療

痔の症状は大きく3つに分類されます。種類ごとに症状や治療法など詳しく説明します。

  • イボ痔

    肛門が膨らんでこぶ状になる病気。
    通常の痔核ではでっぱりと出血が主な症状で痛みは軽度ですが、痔核の一種である血栓性外痔核は突然痛みと腫れで発症します。

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  • 切れ痔

    裂肛は肛門に出来たキズ。
    排便時の痛みと少量の出血が典型的な症状で、原因は硬便が多数を占めます。初期に適切に治療すれば治りますが、慢性化すると手術が必要になるケースもあります。

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  • 痔ろう

    肛門が化膿する病気。
    痔ろうは激痛と発熱で発症し、初期に膿を出すために切開処置が必要なケースが多いです。長期間放置すると痔ろうガンが発生するケースがありますので、注意が必要です。

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  • 痔の治療

    治療の第一歩は正しい排泄から。痔の原因となった排泄を直すことから始めます。

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  • 痔を予防するには?

    痔は排便習慣の結果です。毎日スッキリ完全に排便することが痔を予防するために一番大切だと考えています。

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  • 痔と女性の関係

    当院は1998年7月に日本で初めて女医による女性専用の診察時間である「女性のための診察時間」を設置。以来何万人もの女性の痔の悩みに答えてきました。

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  • 大阪肛門科診療所について

    「できるだけ手術をしなくて良いように一生懸命手を尽くす。しかし、いざ手術になったら本当に良い手術を提供できる。」これが理想の肛門診療だと考えています。

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