肛門狭窄症の症状 〜便が細いだけではない〜
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(2019年5月12日加筆修正)
自分のお尻の穴が大きいか小さいか、あまり意識したことがない佐々木みのりです。
肛門が狭くても症状があるとは限りません。
かなり肛門が狭くなっているのに全く気付いていない無症状の患者さんもいますし、大して狭くないのに「すごく狭い」と訴える人もいます。
肛門狭窄の症状にはどんなものがあるのか?
本日は症状についてお話ししたいと思います。
便が細い、細い便しか出せない、軟便にしないと出せない
便の太さはどれくらいが正常で理想だと思いますか?
そう質問すると必ずと言っていいほど
「バナナのような便!🍌」
という答えが返ってきます😅
よくテレビ番組などで便秘の話が特集されたときに、バナナ便が理想と言われてるようですが、肛門科医の立場から申しますと・・・それは太すぎです!
せめて皮を剝いたバナナまでです。
皮を剝かないバナナ便が出るってことは、相当水分が少なくて古くなった便である可能性が高く、そんな便を出している人は便秘の人という結論になりますね😎
肛門科的な理想の便の太さは自分の足の親指くらいだと言われています。
どうですか?
それだったら私は大丈夫!
という人が多いように感じます。
また硬い便は太く出ますが、やわらかい便は肛門の穴を大きく開かなくても出るため細い便となります。
つまり便性によっても便の太さは変わります。
肛門が本当に狭くなってくると常に便が細くなり、細い便しか出せなくなります。
日によって太い便や細い便など、色々な太さの便が出ている人は大丈夫です。
便が出にくい
肛門が硬く狭くなると便が出しにくくなります。
強くいきまないと出なかったり、排便に時間がかかるようになります。
排便時に痛い、出血する
切れ痔(裂肛)で肛門が狭くなった場合は痛みや出血を伴うことが多いです。
また肛門癌や直腸癌で狭くなっている場合は、痛みを伴わず出血だけ見られることも多いです。
狭小感(肛門が狭い感じがする)
本人が狭いと感じていても診察したら全く狭くないケースもありますが、肛門の伸縮性が悪い場合が多いです。
主に洗い過ぎなどの過剰衛生によって肛門狭窄が生じた場合にも起こります。
便漏れ
肛門が狭いのに便が漏れる?
と不思議に思う人も多いでしょう。
肛門のしまりが悪い、ゆるい場合に便漏れが起こるのが普通ですから。
ですが意外なことに、便が漏れるという症状で受診した患者さんの中に肛門狭窄の人が結構いるのです。
肛門癌や直腸癌、ジオン注射後の硬結で肛門が硬くなり伸縮性が無くなり、しっかりと穴を閉じることが出来なくなったために生じたものと思われます。
オムツを当てて受診された患者さんもおられます。
「便が漏れる=肛門のしまりが悪い」という常識を覆される経験を何度もしています。
医学的な常識が当てはまらないことを日々の診療で経験しているため、いつも患者さんのささいな言葉に耳を傾け、丁寧に診察するように心がけています。
無症状、無自覚のケースは下剤や健康食品の乱用に多い
診察が出来ない、私の人差し指ですら入らないくらいの高度な狭窄があるのに、本人は全く無症状、無自覚という場合もあります。
それはコーラックやスルーラック、スリムドカンや美爽紅茶、モリモリスリムなどアントラキノン系下剤の常用者に見られます。
私の小指がやっと通るくらいの肛門なので下痢便、水便、オシッコのような便を出しています。
そうしないと出せない💦
今までずっとそのような便を出してきたため切れ痔(裂肛)などはなく、痛みや出血などの症状もありません。
だから本人は気付かない。
何も困ってない😓
肛門だけが困ってる😅
肛門に障害が起こるだけでなく大腸メラノーシスも伴います。
腸が真っ黒になるので肛門だけの問題ではすまされません。
詳しくはコチラ↓
https://osakakoumon.com/column/2687
何も困ってないからいいのか?
というと、狭窄がどんどんひどくなれば、いずれ困るようになるので、速やかな下剤や健康食品の中止とフィンガーブジーなどの治療を開始します。
高度な狭窄の場合は肛門を広げる手術が必用になることも多いため、安易な下剤や健康食品の摂取は見直して欲しいものです。
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
肛門狭窄症の患者さんがよく
「犬のウンコよりも細いんです💧」と
表現されます😓
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。