-
Q 肛門科に受診するのは恥ずかしい。どんな手順でどんな雰囲気なのか知りたいです。
当院は保険の効かない自由診療で、しかも予約制。十分な診察時間を取っていますから、通常は待合室にいる患者さんは数人程度です。たくさんの患者さんが待合にいる大病院とは少し雰囲気が違います。
受付に来られた初診の患者さんには問診票を書いてもらいます。通常10〜15分程度かかります、ちょっと多いですね。問診票を受付に渡していただき、順番が来たら番号札で呼び出されます。当院はプライバシーに配慮してお名前でのお呼び出しはしていません。診察室に入ったら、まずイスに座ってお話を伺います。これまでどんなことに困っていたのか、どんな希望があって受診したのかをお話しください。それから肛門の診察になります。診察は左肩を下にした横向きに寝た姿勢で行います。ズボン・下着は膝までずらして、スカートならまくり上げておしりを出して頂きますが、おしりはタオルで覆います。診察は、目で見る視診、肛門に指を入れて中を触診する直腸指診、そして肛門の中を目で観察する肛門鏡診を行います。直腸指診と肛門鏡診は人によっては少し痛みを感じますが、余計な力が入るとさらに痛みが強くなります。意識して脱力すると一番ラクに診察が受けられます。痛ければおっしゃって下さい。
これらに加えて他の検査を追加する場合もあります。排便が不十分な場合は正確な診断と治療の目的で、排便の坐薬を入れて排便指導を行います。診察が終わったら説明をします。質問があれば是非尋ねてください。初診の診察でこれらがすべて終わるのに2時間くらい、人によっては3時間くらいかかる人もいます。
当院は患者さんとの対話を重視しています。お困りのことや疑問点は担当医にお話しくださって結構です。診察終了後に質問を思いついたら、受付スタッフに尋ねてみてください。 -
Q 女医さんによる女性専用の予約外来はあるのでしょうか?
1998年7月、日本で初めての女医による女性専用外来が当院で始まりました(女性のための診察時間)。当院の副院長佐々木みのり(女医)を中心に、当初よりさまざまな改善を繰り返しながら現在に至ります。
女性のための診察時間は、以下のような時間です。
・患者さんは女性だけ。
・完全予約制(当院はすべての時間帯で完全予約制になっています)。
・待合室への男性の立ち入りはご家族・お付き添いを含めてお断りしています。ご注意下さい(なお業者が受付に立ち寄ることは業務の都合で認めていますので、ご了承ください)。
・お呼び出しは番号札での呼び出しとなり、お名前をお呼びしません。
・担当医は副院長の佐々木みのりです。
「恥ずかしくて受診できない」が過去の時代のことになるように努力しています。 -
Q 痔の手術は日帰り、入院のどちらが良いのですか?
当院の場合、入院と日帰りで完全に異なる術式を採用している関係で、どちらの方法にも一長一短があります。
入院手術では現在の主流である標準的な術式を行っています。メス・ハサミなどの刃物で切って、糸で縫合して・・という皆さんが想像するような普通の手術です。これらの術式でなぜ入院が必要かというと、術後の大量出血の対策です。当院の場合は5泊6日の入院なのですが、5泊6日の入院なら術後大量出血の頻度は1%未満であることを経験上確認しています。逆に短期入院の場合、出血の頻度が上昇することも確認しています。
一方で、日帰り手術の術式は、古典療法と呼ばれる方法を採用しています。極力刃物を使わず、ゆっくりと切断するのが特徴です。いぼ痔や切れ痔ならきつく縛って腐らせて落とす手術、痔ろうなら管(くだ)にゴムひもを通してゆっくり切断して落とす手術です。これらの方法は術後大量出血が極めて起こりにくく(ゼロではありませんが)、安全性が高いので日帰りができるのです。古典療法の欠点は(病気・術式により違うのですが)、痛みや治癒まで長期間かかるといった点です。
当院ではほとんどの場合入院手術と日帰り手術を患者さんのご希望で選択出来ます。詳細は診断によって異なりますので診察のときにお尋ね下さい。 -
Q 痔ろうと診断されました。手術になりますか?
まず、痔ろうの初期(別名、肛門周囲膿瘍)では、膿を抜くための切開処置が必要なケースが多いです。切開の後、2〜3週で痔ろうがハッキリ診断できるようになります。痔ろうを完治しようとすると、手術が必要です。手術以外では治せない病気です。では、痔ろうを治す理由はなんでしょう?2つの理由があります。1つは痔ろう自体の症状が辛いから。もう1つの理由は、将来の痔ろうガンを予防するためです。痔ろうガンとは文字通り痔ろうから発生するガンです。一般に10年以上の長期にわたり治療せずに放置した痔ろうに起こるとされていて、つまり高齢者よりも若年者にリスクが高くなります。痔ろうガンの発生頻度は正確には分かっていません。痔ろうガン自体が比較的稀なガンなので、それほど高頻度ではないと予想されています。痔ろうガンは通常の診察で早期発見はできないため、予防の唯一の方法が手術で根治することなのです。
以上の事を踏まえて、多くの専門家は痔ろうと診断したら手術治療を勧めます。当院も基本的にはこれに賛成で、特に若年の患者さんには手術をお勧めしています。 -
Q 最新のいぼ痔の手術はどんなものですか?受けることができますか?
近年ではジオン注射が新しい治療法として注目されています。硬化剤をいぼ痔に注射し痔を固めてしまう方法です。発売から10年以上経過して長所短所ともに明らかになりつつあります。現在のところジオンは一定の評価を得ている反面、肛門科専門医の間での評価は2つに分かれている印象です。なお、当院ではジオン注射は採用していませんので、当院で受けて頂くことはできません。
実は、いぼ痔の手術には時代ごとの「流行り廃り」があります。ある時期に大流行した方法が、少し時間が経つと誰も見向きもしなくなったりします。そんな方法の例としてレーザー、PPHなどがあげられます。一時はみんながこぞって導入し、学会もその話題で持ちきりでしたが、現在もこれらをメインで利用し続けている施設は、探さないと見つからないくらいです。
当院としては「最新は最良とは限らない」と考えます。むしろ、昔から行われている方法、長所も短所も十分に理解している「枯れた」方法が最も安全である、という立場です。ご理解いただけると幸いです。 -
Q いぼ痔は手術なのですか?怖くて受診をためらっています。
いぼ痔は悪化の度合いによってⅠ度からⅣ度に分類されています。Ⅰ度とⅡ度は手術しないのが原則、Ⅲ度とⅣ度は治療するなら手術が必要とされています。しかし一番大切なのは、ガンではない、と確認することです。いぼ痔は生命に関係のない病気ですので、手術するかどうかはご自身で判断するべきことです。例外は、大量の出血で貧血になっているケースで、この場合はご希望に関係なく手術が必要と判断されます。どうぞ、勇気を出して肛門科専門医を受診していただきたいと思います。
望んでいないのに手術と言われた場合は、その場で決めないこと。一度家に帰ってアタマを冷やして、相談するべき人に相談しましょう。困ったときには、セカンドオピニオン目的に他の医療機関を受診することも検討してください。 -
Q 季節や時期によっていぼ痔の調子が悪くなるのはなぜですか?対策は?
患者さんの中には、冬になると調子が悪い人、逆に夏がダメな人、春・秋の季節の変わり目で調子を崩す人もいますので、特定の季節が痔に悪いわけではないようです。いぼ痔はうっ血によって、季節を問わず、悪化します。うっ血とは血液の流れが悪い状態、血液が溜まる状態です。冷え、長時間の同じ姿勢(立ちっぱなし、座りっぱなし)、便秘は肛門をうっ血させますが、一番重要なのは便秘です。注意したいのは、何日も便が出ない便秘はもちろん肛門に悪影響ですが、実は毎日排便があっても出口に便が残ってしまう「出口の便秘」も肛門をうっ血させるということです。便通は季節や時期で変動しがちですが、食事や適度な運動、休息、睡眠などに気を配り、平常通りのスッキリ便通を心がけたいものです。もちろん、冬なら冷えないようにカイロを使う、座りっぱなしのデスクワークでは時々立ち上がって姿勢を変えるといった、一般的なうっ血対策も有効です。
さらに「いぼ痔の調子が悪い」と聞いて一番に思い浮かぶのは、血栓性外痔核です。突然の腫れと激痛で発症し、数日〜数週間で自然に治ってしまう病気です。専門外の先生が脱肛と間違えて手術しようとすることが多い病気です。肛門の不調のときには、慌てずにまずは肛門科の専門医に相談して下さい。 -
Q 排便時に痛みがあります。良い対策はありますか?
排便時の痛みは切れ痔を疑います。便意を感じたらガマンせずに出す、そして完全にスッキリと出し切るのが切れ痔改善のコツです。
痛みがあると便意があるのに排便をガマンしてしまうかも知れませんが、結果としてかえって切れ痔は悪化してしまいます。それは、便をガマンすると便から水分が吸収されてしまい、すぐに出すよりも硬い便になってしまうからです。また、痛みのせいで十分に排便を途中でやめてしまうのも悪化の原因になります。出し切れずに便が出残ってしまうと、傷口の周辺を汚染して炎症・痛みの原因になったり、次の排便までに水分が吸収されて出始めの硬い便になりまた肛門を傷つけてしまうのです。
スッキリ出すためにご自身でできるのは、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な休息、睡眠などです。それでも痛みが続くときは肛門科へ。切れ痔は早期ほど治りやすいので、ひとりでガマンせずに早めの専門医受診をお勧めします。 -
Q 排便時に多量の出血があります。大丈夫でしょうか?
-
Q 排便で真っ赤な出血がありました。痔でしょうか?
痔のこともありますし、痔でない病気のこともあります。
一般に赤い出血は痔で、黒い出血はガンなどと言われていますが、その通りでないこともあります。例えば、肛門にできたガンの出血は真っ赤ですし、痔の出血が直腸にたまって黒くなることもあります。このように出血の色で病気を推測するのは危険です。是非肛門科の専門医を受診して正確な診断を受けてほしいと思います。
- 1
- 2
上の質問でお答えしたように、まずはガンでないことや、高度の貧血など緊急の対応が必要ないかどうかを専門医で確認なさることが第一にお勧めしたいポイントです。問題ないようなら止血のための治療を行います。
当院の場合は、まず便通の管理をお勧めします。便の硬さが練り歯磨き粉程度になるように便を管理します。これに加え、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な休息と睡眠などをお勧めしています。
食生活においては禁酒、それも減らすのではなく「一切摂らない」をお勧めします。実際に禁酒なさった方の多くで出血が軽減しますので、試す価値があります。なお、乳製品は異種動物の母乳なので人間には本来不要のモノ、不自然なモノ、というのが当院の見解です。摂るかどうかは個人の嗜好による、と考えます。