• Q 数日前から腫れてきて今朝から急に悪化。痛みで座れません・・

    肛門周囲膿瘍を疑います。
    肛門が化膿する「痔ろう」の初期を肛門周囲膿瘍と呼びますが、痔ろうと同じ病気です。教科書的には下痢が原因と言うことになっていますが、当院では便秘の方の痔ろうも多く経験しています。肛門付近にある肛門腺に便が入り込んで化膿することがこの病気のはじまりなのですが、免疫力が強ければ自然に治まってしまうようです。通常は数日〜数週間かけて悪化し、あるときを境に急激に悪化するという経過を取ります。痛みの特徴は「座れない痛み」。圧迫すると激痛があるので横座りしたり、イスにおしりの半分だけ乗せて座ったりしています。また多くの方に38℃を超す発熱があります。測ってみたら「あれ?熱がある」と驚く方もいます。
    この病気は早期の受診をお勧めします。放置して膿が広がるのに任せてしまうのは危険です。受診するのは肛門科がベスト、なければ外科にかかってください。状況にもよりますが、多くの場合早期に切開して膿を抜く処置が必要です。
    抗生物質だけで治療するのは、効果が不十分なことが多くお勧めできないケースが多いです。さらに、薬剤耐性菌を作ってしまうこともありメリットがありません。抗生物質は切開を受けてから短期間の使用にとどめるのが良いと考えています。

  • Q 便が細いとガンだと聞きました。本当ですか?

    ガンのこともそうでないこともあります。まずやるべきことはガンではないことの確認です。
    肛門や直腸にできたガンで便が細くなることがあります。指が届く範囲なら肛門科で診断可能ですが、届かない範囲まで含めて、まずガンを否定しなければなりません。当院では肛門の検査、大腸内視鏡検査の両方を受けるよう説明しています。両方受けるのはムダに思えるかも知れませんが、そうした方が安全・安心です。
    肛門が狭くなる病気である「肛門狭窄」でも便が細くなります。肛門狭窄とは、切れ痔などの繰り返す炎症のせいで肛門が狭くなる病気です。鉛筆が通らないほど狭くなってしまうケースもあり、こういった場合は大腸内視鏡検査をやりたくても内視鏡が通りません。肛門狭窄を治療してから大腸内視鏡を行うか、近年普及しつつある大腸CT検査を利用するのも1つの方法です。
    実は最も多いのが「便が軟らかい」せいで便が細くなるというケースです。硬い便が出るときにはなら肛門は大きく広がりますが、柔らかければさほど広がらなくても出せる、ということです。肛門科では昔から「便の硬さは練り歯磨き粉くらいが理想的、そういう便であれば便の太さは自分自身の親指か、太くても足の親指程度になる」とされています。バナナみたいな便が出なくても大丈夫なのです。もちろん便が柔らかすぎる場合には適切な硬さになるよう調整が必要です。

  • Q ある日突然おしりが痛い!触ると見知らぬでっぱりが・・どうしよう?

    血栓性外痔核が疑われます。でっぱりの正体は血豆です。肛門がうっ血し血流が悪くなり、血管の中で血液が固まって血豆ができるのです。突然発症し、通常は短期間で治ってしまう病気で手術は不要です。でっぱりの大きさは米粒大からパチンコ玉くらいのことが多いです。痛みの性質は、ヒリヒリ、キリキリといった表面の痛みで、こすれると痛い、歩くのがつらいというもの。座る動作、立ち上がる動作は痛みますが、座ってしまえば座れてしまうという方が多いのも特徴的です。痛みは通常3〜5日程度で治まり、それに続いて腫れも2〜3週間で引いてしまうことが多いです。中には皮膚にしわや外痔核を残す人もいますが、患者さんご本人が気にしなければ問題ありません。この病気で痛むときは、冷やす方が良いと言う意見と、温める方が良いと言う意見、両方ともあるのですが、当院としては温めることをお勧めしています。お風呂に入ってゆっくりぬくもるのが一番シンプルな対策です。
    通常は手術せずに治る病気です。早期受診して本当に血栓性外痔核が正しい診断なのか、病名を確かめましょう。後にでっぱりが残ってしまった場合にも、受診してガンでないことを確認していただきたいと思います。

  • Q 痔になったら手術が必要なのですか?

    この質問には大腸内視鏡検査を受けている、という前提でお答えします。
    手術が必要な度合いは、痔の種類によって異なります。
    いぼ痔(痔核)の場合、通常は手術しなくても構いません。例外は大量出血などの危険な症状があるケースですが、これは少数です。当院では、手術によって得られること、失うことを比較して、患者さんご自身がどうしたいのかを決めるのが最良と考えています。
    切れ痔(裂肛)は早期に適切に治療すれば手術なしで治ります。当院の裂肛の手術率は5%ほどです(2017年)。ひどい裂肛では手術を行って治療しています。ただ、手術により一旦は治りますが、術後に却って切れやすくなる場合もありますので、可能な限り手術せずに治すのが理想と考えています。
    痔ろうでは、もしも可能であれば手術して治してしまうことは良い選択だと考えています。理由は、数十年放置した痔ろうにガンが発生することが知られているからです。ガンの発生する確率は不明ですが、痔ろうガンは現場では比較的珍しいことから、発生確率は高くないと考えられています。無理のないスケジュールを立てて計画的に治療するのが患者さん自身にも職場にも負担が少ないので、それをサポートするよう努力しています。

  • Q 痔とはどんな病気ですか?アドバイスは?

    痔は1つの病気ではありません。有名なのは、いぼ痔、切れ痔、痔ろうの3種類で、それぞれ症状も治療も異なります。痔ろうという病気は馴染みがないかもしれませんが、これは肛門が化膿する病気です。少々複雑なのは、いぼ痔のせいで切れたり、切れ痔のせいででっぱりができたり、切れ痔から化膿したり、と、1つの痔が他の痔を作ることがある、という事情があることです。
    医学的には痔は良性疾患で、死なない病気とされています。しかし「痔だと思っていたらガンだった」という不幸なケースが後を絶ちません。このため当院では痔の方には大腸内視鏡検査を定期的に受けるようお勧めしています。よくあるのが「真っ赤な出血は痔なのでガンはない」と言う誤解です。痔があるからと言ってガンが否定できるわけではありません!痔もガンも両方ある人もおられますから、やはり大腸の検査は必要だと考えています。
    当院では痔の方が快適に日常生活を送るためには、うっ血をさけること、そのために毎日スッキリ完全に出し切る排便をして頂くことが大切だと考えています。ご自身でできることは、バランスの取れた食生活、適度な運動、十分な睡眠、毎日決まった時間に排便を試みる、そして排便時には強い腹圧を避ける(例えば顔が真っ赤になるような、あるいは青筋が立つような腹圧を避ける)ことなどです。

  • Q 今朝から、強い便意にもかかわらず、どうしても便が出せません・・どうすれば良い?

    便栓塞(俗に言う糞詰まり)かも知れません。医療機関、できれば肛門科、に受診して相談してください。肛門科がなければ外科など肛門疾患を扱う科を受診するのが良いでしょう。
    便栓塞は、数日の便秘の後に発症することが多いですが、毎日排便があったのに突然なってしまう方もいます。典型的な症状は、周期的に来る強い便意、それにもかかわらず排便できない状態、多くの場合肛門に痛みを伴います。肛門を塞ぐ硬い便の周囲を軟便がすり抜けるために便失禁がおきる方もいます。
    もしも便栓塞なら便を取り出す処置(摘便と言います)を要します。直腸が便でパンパンになっていることがあり、対処を間違えると危険です。早期に医療機関に受診してください。

  • Q おしりをきれいに保つには、どうすれば良いのでしょうか?

    実は、おしりをきれいに保つのに、拭くこと、洗うこと、という行動はあまり効果がありません。
    子供時代にはおしりを拭いてもペーパーに便が全然つかなかった・・という経験をお持ちの方も多いと思います。完全にスッキリ排便できれば、洗う必要もないし、何回も拭く必要もありません。逆に完全に出し切れない排便の場合は、排便後も便が肛門にはさまった状態になり、何回も拭いたり洗ったりする、また一度はキレイにしたつもりでもあとから汚れるといった症状につながります。
    よって、おしりをきれいに保とうとすると、スッキリ完全に排便するのが一番効果的なのです。

  • Q おしりのかゆみは皮膚科?肛門科?

    おしりのかゆみは特殊で、皮膚科にも肛門科にも関係が深い領域です。
    おしりのかゆみは、ほとんどが「掻くからかゆい、かゆいから掻く」の悪循環で作られ、さらに、おおもとのきっかけになるのは「出口の便秘」のことが多いと考えています。このタイプのかゆみは肛門科の方が得意です。逆に特定の原因でかゆい場合は皮膚科の方がよいでしょう。例えば真菌症(水虫の仲間)は皮膚科の方が治療がスムーズだと思います。
    副院長の佐々木みのりは元皮膚科医でもあり、おしりのかゆみは当院の得意領域のひとつです。

  • Q 健診で便潜血陽性でした。元々痔があるので大腸内視鏡検査は不要ですか?

    便潜血陽性の方は陰性の方に比べてガンやポリープである確率が高いので、大腸内視鏡検査を受けることを強くお勧めします。痔の方は確かに痔からの出血の可能性もありますが、痔もガンも両方ある、というケースもありますし、痔をきっかけにして早期のガンが見つかるならば、ラッキーとさえ言えるのではないでしょうか?
    数年先に「あの時調べておけばよかった・・」と後悔しないために、いえ、むしろ何もないことを確認するために大腸内視鏡検査を受けてほしいと思います。
    なお、当院では大腸内視鏡検査は行っておりません。ご希望の方には保険診療の専門家を紹介しております。

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