便が細いとガンだと聞きました。本当ですか?
ガンのこともそうでないこともあります。まずやるべきことはガンではないことの確認です。
肛門や直腸にできたガンで便が細くなることがあります。指が届く範囲なら肛門科で診断可能ですが、届かない範囲まで含めて、まずガンを否定しなければなりません。当院では肛門の検査、大腸内視鏡検査の両方を受けるよう説明しています。両方受けるのはムダに思えるかも知れませんが、そうした方が安全・安心です。
肛門が狭くなる病気である「肛門狭窄」でも便が細くなります。肛門狭窄とは、切れ痔などの繰り返す炎症のせいで肛門が狭くなる病気です。鉛筆が通らないほど狭くなってしまうケースもあり、こういった場合は大腸内視鏡検査をやりたくても内視鏡が通りません。肛門狭窄を治療してから大腸内視鏡を行うか、近年普及しつつある大腸CT検査を利用するのも1つの方法です。
実は最も多いのが「便が軟らかい」せいで便が細くなるというケースです。硬い便が出るときにはなら肛門は大きく広がりますが、柔らかければさほど広がらなくても出せる、ということです。肛門科では昔から「便の硬さは練り歯磨き粉くらいが理想的、そういう便であれば便の太さは自分自身の親指か、太くても足の親指程度になる」とされています。バナナみたいな便が出なくても大丈夫なのです。もちろん便が柔らかすぎる場合には適切な硬さになるよう調整が必要です。