「痔のせいで便が出にくい」のではなく、便が出にくいから痔になったんですよ
実は子供は4人欲しかった佐々木みのりです
患者さんのよくある勘違いをブログのタイトルにしました。
大きないぼ痔や見張りイボ、肛門ポリープなどがあると、それが邪魔をして便が出にくいと思い込んでいる人がいます。
だから
それを切除したら便がちゃんと出るようになる
そう期待して手術を受ける患者さんも大勢います。
でも結果は・・・
痔は治っても便秘は治りません。
考えれば当たり前のことなんですが、勘違いしている人が本当に多いです。
手術が期待外れにならないためにも、それを分かった上で手術を受けて欲しいので、私たちは必ず、手術前に患者さんに説明をしています。
手術で治せるのは痔だけ
手術で痔は治ります。
痔を治すのに、手術以外に治す方法がない場合にのみ手術を考えますが、手術でしか治せない痔は本当に少ないです。
痔の多くは手術をしなくても改善出来ると私たちは考えています。
当院の手術率は5%前後です。
痔の原因となった便通を治せば痔の症状が無くなることが多いため、患者さんは手術を希望されません。
手術によって何が得られるのか?
を事前にちゃんと分かった上で手術を受けて欲しいと思っています。
手術をすれば
いぼ痔(痔核)は無くなります。
狭かった肛門は広がります。
痔瘻は無くなります。
見張りイボや皮垂などの物体は無くせます。
でも痔の原因となった便通は手術では治せません。
ただ、痔が気になってトイレで十分いきめなかった患者さんなどは「手術して痔が無くなったら普通にいきんで便を出せるようになったからスッキリ出る!」と言われることもありますが、多くの患者さんは痔のせいで便が出せないわけではないので、手術して痔を切除しても便通は変わらないわけです。
便秘を直す手術じゃないですからね。
だから、手術で治せるのは痔だけだということを十分理解した上で手術を受けて下さいね。
下剤が必要なくなるわけでも、坐薬を使わなくても便が出せるようになるわけでもないのです。
便秘を繰り返せばまた痔になる
せっかく手術して痔を治しても、痔の原因となった便通や生活習慣を改めなければ、また何年かたったら痔になります。
またなる痔が前回と同じ痔とは限りません。
昔、切れ痔(裂肛)だったけど今回はいぼ痔(痔核・脱肛)
10年前に痔瘻で手術して治ったけど今回はいぼ痔(痔核・脱肛)
なんてことは多々あります。
痔を繰り返している人、痔の手術を何度も受けている人は、手術だけ受けて便通を治してないんです。
ここを治さなければ何度でも同じことを繰り返します。
だって痔は間違った排泄の結果ですから。
その間違いを正さなければ何度でも同じ結果が生まれます。
原因があって結果が生み出されるわけですから、本当の根本治療は手術ではなく便通を直すことだと思いますね。
痔が治った後も便通は直し続ける必要がある
というわけで、痔が治っても便通の管理は一生の仕事です。
その便通だって、一生同じとは限りません。
生活環境が変われば便通も変わるし、食べたものや体調によって便通は毎日違って当然。
その時々で対処していく必要があります。
適切に対処できれば肛門はすぐに悪くなったりしません。
少しの不調に気付けるかどうか
肛門の声に耳を傾けられるかどうか
だと私は思っています。
だから手術して痔を直して、もう肛門科に通わなくなったあとも、ちゃんと日頃の生活の中で便通の管理だけは続けて下さいね。
それがうまく出来ないときは受診してもらったらいいんですよ。
自分のおしりですから自分で管理できます。
その管理方法をアドバイスするのが私たちの役目だと思っています。
そんな便通だから痔になったんですよ
痔で手術を受けている人で、毎日便通がある人が多いということに私も衝撃を受けましたが、毎日便が出ていてもスッキリ出ずに中に便が残っていたら便秘です。
私たちはそれを「出残り便秘」と名付けました。
詳しい解説はコチラ↓
痔は排泄の結果です。
どんなに理論的に正しくても、痔になったという実績がある以上、今までの便通の何かが、あなたにとって間違っていたわけです。
そこを正さなければまた痔になってしまいます。
毎日排便があるから自分は便秘ではない!
と言い張る人もいますが、そんな便通だから痔になったという証拠がちゃんと肛門にはあるわけです😓
そこを改めるかどうかも本人次第。
私たちはアドバイスは出来ますが、実際の治療は患者さんの生活の中、トイレ生活にあります。
治療出来るのは患者さん以外に居ないのです。
おしりが悪いから便が出ないんじゃなくて、ちゃんと便が出ないからおしりが悪くなったんですよ。
そこのところ、よく理解して下さいね!
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
犬のようちえんで散歩中にもトレーニング♪
みんなとってもおりこうです🐶
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。