肛門科の女医とは?女性肛門科とは?
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(2019年5月13日加筆修正)
痔や肛門の悩みは恥ずかしくて誰にも言えないもの。
できれば誰にも知られずに一人でコッソリ治したい。
まずは薬局で痔の薬を買って・・・それでもダメなら、いよいよ肛門科を受診することを考える。
そして肛門科受診するなら絶対に女医さんがいい。
男性医師の前で下着を脱いで肛門を見せるなんて恥ずかしすぎる・・・。
そういう女性が多いと思います。
そこで肛門科の女医さんを探します。
検索すると結構たくさん出てくる・・・
でも
肛門科専門医の資格を持つ女医は全国でたったの20名程度。
つまり、ほとんどの女医が専門外という現実があるのです。
専門の先生だと思って受診したのに違った・・・という残念な結果にならないためにも、ちゃんと知って選んで受診できるよう、肛門医療業界の実情をお話ししたいと思います。
肛門科女医とは?
患者さんが肛門科女医と呼んでいるものは、肛門科を「標榜している」女医(女性医師)を指しているようです。
つまり看板に「肛門科」と書いてあったら「肛門科の先生」が居ると思っておられるようです。
でも肛門科の女医は2018年9月現在、日本全国で20名余りなので、検索で表示される女性医師は肛門科の先生ではない確率の方が高いでしょう。
日本は自由標榜制なので医師免許さえあれば誰でも肛門科の看板を掲げることが出来ます。
全く肛門科の診療経験がなくても、
専門外でも、
「肛門科」と看板に書いてもいいことになっています。(ちなみに欧米では自分の専門領域でしか開業出来ません)
よくある看板が「○○クリニック」というクリニック名の下に「胃腸科・内科・小児科・肛門科・放射線科」など複数の科が書いてるもの。
たくさん科が書いてあっても医師の専門性は一つです。
その先生が何科出身の先生なのか経歴を調べれば分かります。
最近は「レディースクリニック」という看板に肛門科を記載しているケースが増えてきました。
昔はレディースクリニックというと産婦人科のことを指していたのですが、近頃は違うようです。
泌尿器科、産婦人科、乳腺外科、肛門科など女性が恥ずかしくて受診しにくい科を全部併設しているクリニックもあるようですが、これらの科は全く別の領域です。
一人の医師が全部の科を専門的に診ることは不可能と言っていいでしょう。
どの科を専門にしているのかホームページに書かれている医師の経歴を見て確かめると良いでしょう。
女性肛門科とは?
「女性肛門科」「女性外来」「女性専用外来」「女性専門外来」などという看板も多いですが、これらは女性患者さん限定という意味です。
男性患者さんは入れません。
決して専門であると言う意味ではないのです。
専門医が診察を担当しているとは限らないし、担当する医師が女医とも限らない。
実際、肛門科女性外来を男性の専門医が担当している肛門専門施設もあります。
担当している医師が肛門科を専門にしている医師であるかどうか調べてから受診しましょう。
本当の専門医とは?
肛門科専門医は日本大腸肛門病学会が認定するもので、正確には「大腸肛門病専門医」と言います。
この専門医資格を取得しているかどうかも専門性の一つの目安となるでしょう。
でも大切なことは専門医の資格の有無よりも医師の経歴です。
肛門診療は大学病院や総合病院では学べないため、肛門診療を専門にする施設に行ってトレーニングを受けなければなりません。
そのような肛門診療のトレーニングが出来る肛門専門施設はは日本全国でも10施設あまり。
私が知りうる限り北から順に以下の14施設。
いしやま病院(北海道)
辻仲病院(千葉県)
亀田総合病院(千葉県)
所沢肛門病院(埼玉県)
東京山手メディカルセンター(東京都)
松島病院(神奈川県)
松田病院(静岡県)
家田病院(愛知県)
野垣病院(愛知県)
大阪北逓信病院→大阪中央病院(大阪府)
土庫病院(奈良県)
チクバ外科(岡山県)
高野病院(福岡県・熊本県)
日高病院(福岡県)
以上の施設で1年以上研修や勤務経験があるかどうかをホームページなどの医師の経歴をチェックしましょう。(「見学」ではなく研修や勤務実態があるかどうかが大切です。)
上記の施設で勤務している女性医師は、まだ専門医を取得していなくても専門性は高いと思われますので、安心して受診出来ると思います。
また古くから代々肛門専門施設として存在している施設が以下の通り。
年代順に記載します。
1903年 畑肛門医院(三重県)
1912年 大阪肛門科診療所(大阪府)
1927年 渡邉医院(京都市)
1928年 勝呂クリニック(西宮市)
1928年 三枝クリニック(静岡県)
1933年 鮫島病院(鹿児島)
1935年 平田肛門科医院(東京)
1937年 荒川クリニック(東京)
1946年 黒川梅田診療所(大阪)
1962年 錦織病院(奈良県)
医師の経歴をチェックして、これらの施設での研修や勤務経験がない医師は、たとえ専門医資格を取得していても専門性は低いと判断して良いでしょう。(現在、専門医や指導医は肛門専門施設での臨床経験がなくても筆記試験と口頭試問、症例数だけで取得できます。)
肛門科専門医女医一覧
日本大腸肛門病学会認定の専門医資格を取得し、かつ、肛門専門施設での研修・勤務経験のある女性医師のみ記載します。(2018年9月現在)
私がまだ把握していないだけで専門医を取得した女性医師がいるかもしれません。記載漏れがあればお許し下さい。分かり次第、追記していきます。
念のために付け加えますが、私が知っているのは、以下の先生方が肛門を専門としているということです。
一人一人の先生方の診療の内容を知っているわけではありません。
ご自身が望む治療を受けられるかどうかはご自身で受診して確かめてみてください。
山口トキコ(東京)
高橋知子(千葉)
別府理智子(福岡)
草間かほる(東京)
野澤真木子(東京)
松村奈緒美(神奈川)
佐々木みのり(大阪)
古川聡美(東京)
大高京子(東京)
香取玲美(神奈川)
南有紀子(大阪)
福田ゆり(福岡)
川村敦子(千葉)
金子由紀(東京)
稲垣水美(奈良)
山田真美(大阪)
野田裕子(大阪)
本郷久美子(東京)
「女医であるかどうか」よりも「専門性」で選んで
恥ずかしいから女医さんに診てもらいたいという気持ちは痛いほど分かります。
でも女医にこだわりすぎると大切なことを見誤ります。
特に肛門科は診断が最も難しいです。
痔であるかどうかの診断、そして手術が必要かどうかの判断は専門医に委ねて欲しいと願います。
そして専門だと思って受診した女医さんが専門じゃなかったと分かったときの女性患者さんの落胆・・・まるで裏切られたような気持ちになる患者さんも多く、そのような女性患者さんの診療現場における生の声を包み隠さず伝えたいと思い、ブログで情報発信をしてきました。
残念ながら私の力不足で届いていませんが、女医にこだわらなければ男性の専門医は大勢います。
あなたの近くにもきっといるはずです。
肛門科は専門性で選んで受診して欲しい。
治療を後悔しないためにも。
こちらの記事も参考に専門の先生を探してみて下さい↓
「肛門科の専門医の探し方・選び方~期待外れにならないために~
実際に診察室での出来事をAmebaブログ「みのり先生の診察室」で書いています。
是非参考にお読み下さい↓(リンクは貼れないためAmebaブログ「みのり先生の診察室」内で検索して下さい)
女医さんはもうこりごりです(;。;)
専門じゃないって書いてて欲しかった!
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。