痔を予防するには?
痔の予防法 → → → スッキリ完全な排便を!
痔は排便習慣の結果です。毎日スッキリ完全に排便することが痔を予防するために一番大切だと考えています。これを読んでいるあなたはもしかすると、一度は痔になって治った経験があるのかも知れません。新しい痔を作らないために、次のようなアドバイスをしています。
便意をガマンしない
便意をガマンする習慣があると、様々な悪影響があります。例えば次のようなものです。
- ①出さなかった便から水分が吸収され硬い便になる(切れ痔の原因)
- ②中に残った便の重みで肛門がうっ血する(いぼ痔の原因)
- ③中に残った便の汚れが肛門腺へ感染を起こしやすくなる(痔ろうの原因)
- ④便意が鈍感になる、便を感じにくくなる
- ⑤腸の壁が伸びて排出力が弱くなる
トイレでスマホをしない・本を読まない
排便時間が長いのはダメ。肛門をうっ血させ、いぼ痔の原因になります。5分以内にトイレから出る、を目安にしましょう
排便時の「いきみ」はほどほどに
人間、いきまずに排便なんてむずかしいし、スッキリ完全に排便しようとすると、少しくらいのいきみはやっぱり必要だと考えています。当院では、
- ①急激ないきみではなく、じわーっといきむ方が良い。その方が排便がスムーズ。
- ②強い腹圧はダメ。青筋(あおすじ)が立つほど、顔が真っ赤になるほどいきんではいけない。
- ③長時間のいきみはダメ。目安は「トイレに入ってから出るまで5分以内」です。
と指導しています。
毎日、自分の便を見ましょう
出血していないか、硬さ、太さのチェックをしましょう。便の変化は体調の変化です。痔の予防のみならず、健康のために有用です。
肛門洗浄は不要
温水洗浄便座は肛門の外をキレイにしますが、中に便が残っているといくら洗っても汚れは完全に取れません。肛門にはさまった便は、出し切れずに中に残った便までつながっているからです。それどころか、洗いすぎは皮膚のトラブルを引き起こし、かえって肛門の不調の原因になります。特に外出先の温水洗浄便座が感染症の原因となる可能性が指摘されており、注意が必要です。当院では、理想的な排便ができていれば排便後の肛門洗浄は不要と指導しています。それでも温水洗浄便座を使用する場合は、
- ①水温を人肌以下に下げる
- ②水圧は最弱にする
- ③使用時間は3秒〜5秒以内にする
- ④温風乾燥をしない
という指導をしています。
紙で拭いて3回以内にキレイにできるのが理想的
スッキリ完全に排便できたときは、拭いたトイレットペーパーに便が付きません。小学生くらいの子供時代を振り返ってみて、そういえば自分もそうだった・・なんて思う方もおられるでしょう。そんなスッキリ排便を目指しましょう。逆に3回以上拭かないとキレイにならない方は、肛門の中に便が残っている可能性、大です。
トイレ以外での生活習慣
規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、冷えを避ける・・ごく普通の健康的な生活は、スッキリ完全な排便を実現するために役立ちます。もう一度ご自身の生活を振り返ってみてはいかがでしょう。
痔主の心得
スッキリ完全な排便
痔の予防法で説明したスッキリ完全な排便を実践しましょう。便が残ると、痔に悪い影響があります。
禁酒、節酒
酒で痔になるかどうか、は賛否両論だと思いますが、痔の方が酒を飲むと痔に悪影響があるのは議論の余地はありません。禁酒を勧めますが、飲むなら自己責任で。なお、当院では毎日少量の飲酒のは最悪の飲み方と考えています。当院お勧めの節酒は、完全に飲まない日を数日、その後、1〜2日続けて飲酒しても良い。その後また数日完全に禁酒という方法を勧めています。
洗いすぎ、拭きすぎに注意
痔の方は排便後に洗いすぎる、拭きすぎる傾向があります。もしかしたら「汚れているから痔になった」と思っているのでしょう。でも本当は「キレイにならないような排便だから痔になった」と考えるのが正しく、そのためにはスッキリ完全な排便を目指しましょう。また、洗いすぎ、拭きすぎは皮膚のトラブルを引き起こし、痔の症状を悪化させます。お風呂でも肛門にセッケンは使わない、肛門をゴシゴシ洗わない、拭かないようにしましょう。
大腸内視鏡検査を定期的に受ける
痔があると出血に対する恐怖心が薄れがち。つい「いつもの出血だろう」なんて思って長期間放置しているうちに、ひっそりとガンが育っているかも知れません。出血以外でも痔の症状は大腸ガンの症状とよく似ていますから、痔と付き合っている人は大腸内視鏡検査を定期的に受けるよう強くお勧めします。
痔の種類と治療
痔の症状は大きく3つに分類されます。種類ごとに症状や治療法など詳しく説明します。