随伴裂肛と嵌頓痔核の合併についてご質問
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近所の人には「コーモンさん」と呼ばれる院長の佐々木巌です。
当院は明治45年創業でもう100年以上天満橋にいます。
ご近所の方には「コーモン病院さん」とか「コーモンさん」とか呼ばれています。
・・なんか複雑です。
私自身はこの仕事に誇りを持っていますからいいんですけど、ちょっと人目が・・ねぇ。
誰もいなければ全然いいんだけど、人混みだったら思わず周囲を見回すかも(笑)
そういえば「オーサカさん」とは言われませんね。
近隣の方はそれぞれ自分自身も大阪人だからなのでしょう。
「オーサカさん」だと、なぜかビッグ(死語か?)な印象ですね。
ちょっとエラそうかも。
さて、今回のブログは遠方に住む女性からご質問を頂きました。
随伴裂肛であった方が、嵌頓痔核を併発したということです。
ブログでお返事をしてみたいと思います。
ご質問メール
まずメールの全文をご覧いただき、
その後メール本文に対してコメントしていきますね。
本来このような問い合わせは診察してみなきゃ分からないのは十分承知してますが、痛さで身動きとれない状態ですので、ブログにでも載せて頂けると助かります。
元々、切れ痔だったのが、2年前から随伴裂肛という状態になり、ニトログリセリンを使って排便の際脱肛しないようにして、落ち着いてる状態でした。
先週、血栓性外痔核が出来、しばらくすれば落ち着くだろうと様子見てたら、3日ほど経ってお盆に入ってから嵌頓痔核になりました。
お盆でいつも行ってる肛門科も休みだし、ネットで調べてお盆もやってる病院に初めて行きました。
そこでは、出てきた内痔核が中に入りやすいように外痔核を切りました。
落ち着いたら、ジオン注射と言われました。
お盆休みなので、激痛に耐えられなく初めて行った病院ですが、切った後の注意事項とかも何もなく、来週診察との事でした。
5日たった今でも出血しますし、排便の時に痛みがあります。
そこで、切った痛みではなく、随伴裂肛が切れて痛みがあるのかと思いました。
この随伴裂肛は分かってくれる先生が居ません。
大阪病院のブログを見て「私の裂肛はこれ!これ!」って思ったほどです。
随伴裂肛があって、嵌頓痔核になった場合はどうなるのでしょうか?
痛みと出血は治らないのでしょうか?
嵌頓痔核なので、どこがどうなってるのか分からない状態です。
よろしかったら教えて下さい。お願いします。
お返事
本来このような問い合わせは診察してみなきゃ分からないのは十分承知してますが、痛さで身動きとれない状態ですので、ブログにでも載せて頂けると助かります。
おっしゃる通り診察しないと分かりませんので、以下、推測を多分に交えつつ書いてみます。
元々、切れ痔だったのが、2年前から随伴裂肛という状態になり、
この随伴裂肛は当院のブログを読んだうえで自己診断されたのだと思います。
ニトログリセリンを使って排便の際脱肛しないようにして、 落ち着いてる状態でした。
ニトログリセリン軟膏は括約筋の緊張を取るために使いますが、脱肛しなくなる作用については直接作用としては存じません。
想像ですが、もしかすると括約筋の緊張が緩むために脱肛した痔核が自然に戻ってしまう、手で戻す必要がなくなるために脱肛しなくなった、と感じるのかも知れません。
先週、血栓性外痔核が出来、しばらくすれば落ち着くだろうと様子見てたら、3日ほど経ってお盆に入ってから嵌頓痔核になりました。
お盆でいつも行ってる肛門科も休みだし、ネットで調べてお盆もやってる病院に初めて行きました。
おそらく血栓性外痔核は時折繰り返しておられたので、ご存じだったのだと思います。
嵌頓痔核は「初めて行った病院」で受けた診断ですね。
そこでは、出てきた内痔核が中に入りやすいように外痔核を切りました。
落ち着いたら、ジオン注射と言われました。
外痔核を切除すると内痔核が入りやすくなる、という状況が理解できません。
状況を見た医師でないと説明できないのかも知れません。
お盆休みなので、激痛に耐えられなく初めて行った病院ですが、 切った後の注意事項とかも何もなく、来週診察との事でした。
・・普通の病院はそんな感じかも(苦笑)。
特に専門外の病院で癌診療を主体にしている病院では、痔の患者さんを丁寧にケアする意識も時間もないと思います。
5日たった今でも出血しますし、排便の時に痛みがあります。
5日後は大なり小なり出血して当たり前です。
出血多量で死にそうな状態が毎日・・なら、予定した1週間後の受診を待たずに、早期に主治医に相談すべきです。
排便時痛も、術後5日ならあって当たり前。
でも脂汗が出るような、身震いするような痛みが何時間も続くのは、ちょっと厳しいですね・・
そこで、切った痛みではなく、 随伴裂肛が切れて痛みがあるのかと思いました。
内痔核が残っていて、外痔核を切除した状態なんですよね?
だったら、排便したときに内痔核が出てくる(動く)のですよね?
これはまさに随伴裂肛と同じ状態です。
が、手術によるキズが随伴裂肛みたいな痛み方をしているわけで、随伴裂肛と呼ぶかどうかは微妙ですね。
この随伴裂肛は分かってくれる先生が居ません。
大阪病院のブログを見て「私の裂肛はこれ!これ!」って思ったほどです。
・・当院は大阪肛門科診療所です。
ちなみに、平成19年までは大阪肛門病院という名称でした。
もしかして、大阪中央病院と間違っているとか?!
随伴裂肛があって、嵌頓痔核になった場合はどうなるのでしょうか?
痛みと出血は治らないのでしょうか?
元々随伴裂肛があって、嵌頓痔核を併発した場合は随伴裂肛による痛みはより強くなるはずです。
しかし嵌頓痔核の痛みも強烈ですから、どちらが痛いのか判別できない可能性もあります。
もちろん、嵌頓痔核になったおかげで随伴裂肛が治るといったラッキーなことは残念ながらおきないと思います。
現在は術後ですが、内痔核の脱肛を繰り返す状況があり、外痔核手術部分が随伴裂肛と同様の振る舞いをしているのであれば、内痔核が縮小しない限り手術部分の治りが悪くなる可能性があると思います。
こういった場合には、当然、主治医が術後管理の一環でキズの治りが悪いことに気付くでしょう。
相応の対応を考えてくださると期待します。
嵌頓痔核なので、どこがどんなってるのか分からない状態です。
よろしかったら教えて下さい。お願いします。
一般医にとっては、嵌頓痔核というだけで十分に訳が分からないはずですので、主治医の先生は頑張ってくださっていると思います。
さいごに
肛門科で一番重要、かつ難しいのは「診断」だと考えています。
今回のお返事の基になった診断はすべて自己診断です。
もし仮におっしゃる通りの状況であれば予測は厳しいものですが、実際の肛門が私の考えたとおりとは限りません。
願わくば私の予測がはずれて良い経過をたどられますように。
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大阪肛門科診療所 院長。 平成7年大阪医科大学卒業。大学5年生の在学中に先代の院長であった父が急逝(当時の名称は大阪肛門病院)。大学卒業後は肛門科に特化した研修を受けるため、当時の標準コースであった医局には入局せず、社会保険中央総合病院(現 東京山手メディカルセンター)大腸肛門病センターに勤務。隅越幸男先生、岩垂純一先生、佐原力三郎先生の下で3年間勤務、研修。平成10年、院長不在の大阪肛門病院を任されていた亡父親友の田井陽先生が体調不良となったため社会保険中央総合病院を退職し、大阪肛門病院を継承。平成14年より増田芳夫先生に師事。平成19年組織変更により大阪肛門科診療所と改称し、現在に至る。