自分がまさか便秘とは・・・毎日出てでも便秘?!
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痔やおしりのトラブルで肛門科に来られる患者さんの多くが、毎日便が出ていると「自分は便秘ではない」と思っておられます。
そうですね。
確かに正解です。
一般的には便秘とは言わないと思います。
しかし当院では、毎日便が出ていてもスッキリ出ずに便が残っていれば便秘ととらえます。
「出残り便秘」と名前を付けました。
この出残り便秘が痔の原因だと考えています。
痔は排泄の結果です。
特にいぼ痔(痔核・脱肛)は、ちょっと便秘したくらいじゃ出来ません。
ヘタすると10年くらい肛門に便を溜めて生きてきてるので、残っている便や溜まっている便に気付いていないことが多いです。
肛門が鈍感になってくるんですよね。
溜まる便の量は雪だるま式にどんどん増えていきます。
そうなると1日分の便じゃ、反応しない、便意も来ない、そのうち毎日出ていた人も、だんだんと毎日出なくなってきます。
それを鈍感便秘と名付けました。
出残り便秘と鈍感便秘、両方ある人も多いです。
「出残り便秘」でお腹が張ることもある
60歳代の脱肛の女性。
診察をするといっぱい便があるのに「まさか便秘とは思いませんでした。」と。
今までずっと外科通院されていたようですがが、苦痛でたまらなかったそうです。
毎朝ちゃんと排便があるのに夕方にはお腹が張り、気分が悪くなる状態が続くため通院されていたそうですが、一向に治らないため当院を受診されました。
出口の便を出してもらったらお腹の症状も全部消失。
便秘もしていないのに、どうしてこんなひどい脱肛になったのだろう・・・と不思議だったそうです。
出口の便秘について知って納得。
そんな便通だから痔になったんですよね。
脱肛になるまで肛門に便を溜め続けた・・・とも言えます。
相当長い間、便を溜めて生きてこられたと思います。
でないと、いぼ痔が大きくなって外に出てこない。
出口に便が残っていると、当然、便からはガスが出ますから、それがオナラとなって出てきたり(当然、そのオナラは残っている便の臭いがします)、お腹もはってきます。
だって出口が便でふさがれてるわけですから。
脱肛よりもお腹の張りを気にされている人も意外と多いです。
たかが便ですが、様々な不快な症状を引き起こしますね。
ちゃんと排泄して出口をカラにして上げるとスッキリしますよ。
痔の原因となった便通を直さなければまた痔になる
当院に来られるまでは、「毎日出ていたので便通は問題ないと思っていました」という人が本当に多いですね。
手術して痔を治したら、もう二度とおしりを悪くしたくないと思うでしょうが、毎日の悪い習慣に気付くことなく長年経過するとまた再発させてしまいます。
なかなか、こういう悩みをじっくり診てくださる所は少ないのでは?と思っていたため、ありがとうございました。
たとえ痔を手術して根治させても、その痔を作った原因である便通を直さなければ、また痔になってしまいます。
特に痔の手術を受けた人は実績があります。
手術しなければならないようなヒドイ痔を作るには相当の年数、便秘をしてきたはずです。
だから便秘歴は痔歴よりも長いんです。
便秘をしてきた年数だけ、便秘治療にかかってもおかしくないと思いませんか?
10年便を溜めて生きてきたのであれば、便秘の治療も10年かかると考えて、焦らず、すぐに結果を求めず、排便管理を続けて欲しいと思っています。
気長にゆる〜く根気よく続けて下さいね。
テレビの情報で痔を悪化させてしまうことも・・・
50歳代 脱肛の女性。
診察を受けられて長い年月をかけて自分のおしりを痛めていた事に反省。
テレビなどの情報を信じて良かれと思ってやっていたことが間違っていたと知り愕然とされました。
どんなテレビ番組だったのか、誰が話していたのか、出演されていたのが医師であったのかどうかも分かりませんが、とにかく「おしりをキレイに洗って清潔に!」と言われていることが、いまだに・・・あるようですね。。。
既に20年近く前から「洗い過ぎによる弊害」が報告され、「温水便座症候群」という疾患名まであったのに・・・。
最近では婦人科でも泌尿器科でも「洗うな」という指導に変わってきているようです。
ビデによる膀胱炎と膣炎が多いそうです。
肛門も外陰部も同じですね。
洗い過ぎは皮膚免疫を落とし、思わぬ病気(性病など)をもらいやすくなりますから要注意です。
テレビの情報が間違っていたとは言いません。
私たちの言っていることが正しいとも言いません。
でも、あなたの肛門がこのような状態になっているということは、今までやってきたことが、あなたの肛門にとって間違っていたということ。
だからそれを変えればいいだけです✌
本当に簡単なことなんです。
洗うのをやめるだけでいいんです。
それもずっと一生やめろって言わない。
騙されたと思って2週間だけ洗うのをやめてみて!
って納得しない患者さんに言ってます。
で、2週間後に来られた時には別人のおしりになってる。
ちゃんと体に結果が出るので、あとから頭で納得出来ます。
高価な薬もいらない
何か特別なことを頑張ってしろって言わない
ただ洗うのをやめるだけで随分違いますよ。
でもね
紙に便が付いてキレイに拭けないのは痔のせいじゃないですよ。
便が残っているからなんです。
スッキリ出さずに何度拭いてもキレイになりません。
温水便座で洗っても同じです。
だから便通を直してくださいね!
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐶
左側のトイプードルがラブです🐾
2ワンでトレーニング♪
別々先生が別々の指示を出しても
2ワンともちゃんと従います✌
すごい!!👏
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。