年末の手術を12月14日までに終了する理由
(2019年5月9日加筆修正)
毎年なのですが、年末に手術を希望される患者さんがおられます。
気持ちはよく分かります。
年末年始の休みを利用して治療出来ると便利ですからね。
なぜ年内の手術を12月14日までに終了するのか?
その理由についてお話ししたいと思います。
術後の出血が年末年始に起こらないように
手術方法にもよりますが、術後の出血は、どんな術式で手術しても常に警戒しています。
滅多にないのですが、緊急に止血処置を要する大出血が起こるのは、多くが術後2週間以内なので、手術してから2週間は、何かあったらすぐに診療所に戻れる所にしか出かけないようにしています。
つまり手術を引き受けると私たちも移動の制限が発生するわけです😓
手術をしてしまうと2週間は遠くに出かけられません。
年末年始は田舎の家に帰ったり、初詣に出かけたりして、患者さんが出血したときにすぐに診療所に戻れない状況になります。
最悪、救急病院にかかってもらってもいいのですが、自分がやった手術の尻ぬぐいを他のドクターにさせたくないですし、そもそも救急病院に肛門の専門医もいませんから、こちらとしても安心して任せられないわけです。
出来るだけ自分で止血したい。
それが手術医の責任だと思いますし、今までもそうしてきました。
年末年始には術後の肛門が安全な状態にしておきたい。
だから診療所が年末年始の休みに入る前には、術後2週間以上経過した状態でお正月を迎えたいわけです。
術後の出血のリスクを考慮した上での手術日なのです。
年末年始は大病院も閉まっている!
昔、当院がまだ病院だった頃、1年中365日24時間、入院患者さんがおられました。
だから年末に手術をした患者さんが、お正月を病院で迎えるという状況だったんです😓
年末年始は飲食店もお休みになるので、うちで作ったおせち料理を病院に持って行って、患者さんと一緒に食べたこともありましたね😅
今となってはなつかしい思い出ですが、何もなく平穏無事に過ごせていたから良かったものの、例えば肛門の術後の経過が良好でも、別の病気で高熱が出たり、肛門以外の持病で別の病院を受診しなければならなくなった時に、年末年始だと大病院が閉まっているので、患者さんを危険な目に遭わせてしまうことになりかねません。
滅多にないことですが、入院中に尿路感染症になり高熱が出て総合病院を受診してもらい1泊だけ点滴入院された患者さんもおられましたし、トイレで転倒して頭を打って脳神経外科にかかってもらった患者さんもおられました。
痔の治療以外の事で何か起こっても、診療所では対応出来ないため、救急病院や総合病院が開いていないと患者さんも困りますが私たちも困るのです💦
だから年末年始の入院をやめました。
痔で入院している人はお尻が悪いだけで体は健康な人が多いですが、中には重篤な疾患を持っていたり、手術することがリスクになる患者さんもおられます。
そういうケースは麻酔科や救急、脳神経外科などが揃っている大きな病院で手術を受ける方が何かあった時に安全です。
私たちのような小さな診療所レベルではハイリスク症例は引き受けるべきではないと考え、大病院を紹介しています。
大きな病院でも年末年始に手術を引き受けないところが多いと思います。
年末年始は人手不足で手薄になりますからね😓
そんな時期に危険を冒してまで手術をするメリットは患者さんにも私たちにもありません。
というわけで年末年始の手術はしてないわけです😓
どうぞご理解いただきますようお願いします🙏
(ただし出血のリスクがほぼゼロに近い日帰り手術は場合によって引き受けることがあります)
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
右側がラブです🐶
バランスディスクでトレーニング♪
怖いのかへっぴり腰のラブ😅
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。