その頻尿は出口の便秘のせいかも
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明け方にオシッコで目が覚めることが増えてきて歳を感じている佐々木みのりです。
突然ですがあなたは1日何回オシッコをしていますか?
年齢によっても、また摂った水分量によっても違うと思うのですが、外来診療をしていて若い女性の頻尿が多いように感じています。
実際に患者さんから相談を受けることもしばしば・・・。
そして「出口の便秘(出残り便秘と鈍感便秘)を治したら頻尿が治った!」という嬉しい報告を女性患者さんから多数いただいています。
2回目の受診の時にわざわざ患者さんのほうから話してくれます。
出残り便秘を治してから朝まで一度もトイレに行かずにすむようになった
トイレが近くて困っていたのに人並みくらいの回数になった
と喜びの声とともに
出残り便秘と頻尿って関係あるんですか?
と質問されました。
今日はその理由についてお話ししたいと思います。
出口の便が膀胱を圧迫する
なぜ直腸や肛門に便が溜まると頻尿になるのか?
出口の構造を理解すれば理由は簡単に分かります。
女性の場合、直腸に接するように前方に膣があり、さらにその前方に膀胱や尿道があります。
直腸に便が充満すると当然、前方にある膣や膀胱が圧迫されます。
糞詰まり(便栓塞)の患者さんが「前(膣)の方を押すと便がスムーズに出やすい」とよく言われるのはそのためです。
圧迫されるのは膣だけではありません。
さらにその前方にある膀胱も圧迫されます。
膀胱が圧迫されると尿意を感じるだけでなく、圧迫された分だけ溜められるオシッコの量が少なくなるため、「ちょっと溜まったらすぐに行きたくなる」「行っても少量のオシッコしか出ない」という状況になります。
出残り便秘や鈍感便秘が常態化している人は常に出口付近の直腸や肛門に便が溜まった状態が当たり前になっているため、頻尿となり、その頻尿も体質や歳のせいだと思い込んでいる人が多いです。
それだけではありません。
直腸にパンパンに便が溜まって詰まってしまうと尿道も圧迫されて逆にオシッコの出が悪い、あるいは最悪の場合、オシッコが出ないという事態になることもあります。
糞詰まり(便栓塞)の患者さんの摘便をするとオシッコが大量に出ることもしばしば経験します。
本当にひどい糞詰まりの患者さんになると摘便中に失禁してしまうこともあります。
女性の場合、肛門と尿道口は近いですから連動しやすいです。
出口(肛門)の不調がオシッコ問題まで引き起こすこともありますから便をちゃんと出すこと、溜めないことは本当に大切。
出残り便秘が原因で膀胱炎になることもある
出口の便が膀胱を圧迫して頻尿になるだけではありません。
出残り便秘の患者さんで膀胱炎で悩む人が多い理由についても説明したいと思います。
スッキリ出し切れずに便が残ると紙でキレイに拭き取れません。
何度も何度も紙に便が付いてきます。
拭くときに後ろから前に向かって拭くと紙に付いた便が尿道口の付近に付いてしまうことがあります。
女性の場合、肛門と尿道口は位置的に近いですから男性よりも膀胱炎になりやすいです。
それだけではありません。
お尻をキレイに拭けないから洗うようになります。
膀胱炎を繰り返している人ほぼ全員が温水洗浄便座を愛用していました。
洗い過ぎるとなぜいけないのか?
洗い過ぎるとどうなるのか?
ということについてはコチラの記事に書きました↓↓
洗っているのは「おしり」だけではありません。
「ビデ」で前(外陰部や膣)を洗っている女性も多いです。
再発性膀胱炎の原因は温水洗浄便座であるという論文を書いた泌尿器科の先生もおられるように、洗い過ぎ問題はどうやら肛門科だけにとどまらないようです。
膀胱炎になると当然、頻尿にもなりますし治療が必要なのですが、繰り返す膀胱炎は普段のトイレ生活に問題があるかもしれません。
あなたのトイレ習慣を今一度、見直してみて下さい。
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
私がPCで執筆作業をしていると
こんな顔してこっちを見つめてくるんですよ🐶
かわいすぎる!!💖
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。