自由診療について
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(2019年5月11日加筆修正)
院長の佐々木巌です。
当院は自由診療です。
初診の診察費用は3万円〜3万5千円ほどかかります(平成29年現在)。
「えー、なにそれ?」と思った方が普通です。
自由診療という言葉はあまり馴染みがないと思います。
今回は自由診療についてお話ししたいと思います。
まず、保険診療とは
自由診療のお話の前に、まず保険診療の事をお話ししようと思います。
なお、私は開業して以来、自由診療のみですから、保険診療を外から眺めている立場ですので、その点をご理解いただき読み進めていただけると嬉しいです。
聞いたことがあると思いますが、日本では医療は大変安価で受けられます。
これは国民皆保険制度のお陰です。
国民皆保険制度に基づいて行われる医療を保険診療と言います。
保険診療では医療行為の対価(つまり値段)は国が決めています。
保険証があれば、どこで医療を受けても同じ値段です。
窓口では医療費の全額を払う必要はなく、一部を支払うだけで医療を受けることができます。
医療機関に行くと提出する健康保険証は、その人が保険に入っていること、相応の掛金を支払っていること、そしてその人の診療費をどこに請求すれば良いかの証明書になっています。
診療費を請求する先のことを保険者と言います。
保険者は国だったり、大企業の組合、業界の組合など様々です。
(ここら辺の話になると、私は保険診療を行っていない部外者なのでちょっと怪しいです)
そして医療を受ける側の人は、被保険者と呼ばれます。
健康保険証は正式には「健康保険被保険者証」と言いますが、保険を受ける側だから「被」保険者なのですね。
ちょっと話がそれますが、個人的にはいつも「窓口で一旦10割(全額)支払って、あとから患者さんが請求したら7割戻ってくる仕組みに『敢えて』しなかった」んだなぁ、と思っています。
というのは、民間の損害保険などのように、一旦こちらが全額支払ってあとから保険金の支給を受けるという仕組みの方が、仕組みとしてはシンプルだからです。
しかしそうすると、問題が起こります。
一旦支払うということ自体が難しいほど高額になってしまった場合ですね。
普段は感じることがないかも知れませんが、医療も本来はそれだけ高額なもので、それを前提とした仕組みだと考える事ができます。
話を戻しまして、保険診療は許可制です。
医療機関は許可を受けてはじめて保険診療を行うことが出来ます。
ほとんどの医療機関の看板に「健康保険・労災保険取扱機関」とか「各種保険取扱」とか書いていると思いますが、その医療機関は許可を取っていると言うことです。
そして、保険診療には「保険で定められた治療を行わなければいけない」というルールがあります。
医師には治療に当たってはとても大きな権限が与えられていますから、各医療機関が好き勝手な医療をはじめたら、国や保険者は大変です。
極端な話、「この壺を買えば、病気が治る。それが私の治療だ」と主張する医者だっているかも知れませんし(笑)、その壺代を治療費として保険で請求されたらたまったもんじゃありません。
そういうことを防ぐために保険診療にはルールがあります。
ルールを破ると医療機関には厳しい罰則が科されます。
診療に対する報酬を支払わないなどの、強烈なペナルティーです。
そういうペナルティーが原因で倒産する医療機関もあります。
ですから保険医療機関は、おいそれと勝手な治療はできません。
また、保険者による厳しい指導もあります。
保険者による行き過ぎた指導の例も耳にしますが・・・そもそも私は部外者なので実態を知らないので、ここではその問題には触れません。
しかし、健康保険にはルールを守らせるための仕組みがあるから医療の質が担保される、とも言えます。
私たちが安心して医療機関にかかれるのは、保険診療のお陰なのです。
では、自由診療とは
一方、自由診療とは健康保険を利用しない医療です。
上に書いた保険診療のルールは一切ありません。
保険証も使えませんし、価格も施設ごとに決められています。
(患者さんの立場だと、受診する前にいくらかかるのか、確認する必要がありますね、注意してください)
また、治療上のルールもありません。
既に述べましたが、医師という資格には治療にあたっては非常に強い権限が与えられています。
自由診療の施設で行われる医療に関しては保険診療のルールに則っている必要はありません。
それをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは患者さんによって考え方が異なると思います。
保険診療の場合には「保険診療であること」そのものが、医療の内容に対する信用を裏付けしてくれましたが、自由診療にはそれもないわけです。
信用するかどうかは、完全に患者さんに委ねられているわけです。
つまり、
医療機関にとっては、価格や医療の内容の「自由」。
患者さんにとっては、そういう標準外の診療を選ぶ「自由」。
それが自由診療です。
大阪肛門科診療所 院長。 平成7年大阪医科大学卒業。大学5年生の在学中に先代の院長であった父が急逝(当時の名称は大阪肛門病院)。大学卒業後は肛門科に特化した研修を受けるため、当時の標準コースであった医局には入局せず、社会保険中央総合病院(現 東京山手メディカルセンター)大腸肛門病センターに勤務。隅越幸男先生、岩垂純一先生、佐原力三郎先生の下で3年間勤務、研修。平成10年、院長不在の大阪肛門病院を任されていた亡父親友の田井陽先生が体調不良となったため社会保険中央総合病院を退職し、大阪肛門病院を継承。平成14年より増田芳夫先生に師事。平成19年組織変更により大阪肛門科診療所と改称し、現在に至る。