あなたのおしりが危ない 〜こんな習慣の人は痔に注意!〜
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執筆が順調に進み最終章を書いている佐々木みのりです。
痔は便秘の人がなる病気
だから毎日お通じがある私は大丈夫
そう思っている人が多いでしょう。
私も以前はそう思っていました。
だけど現実は大きく違ったのです。
痔や肛門トラブルで受診される患者さんの8割は毎日便が出ている人だったのです。
それどころか1日に何度か便が出るという頻便の人も意外に多くて、むしろ自分は快便、おなかがゆるい方だと認識している人もいました。
何日も便が出ないような便秘のヒドイ人なんてほとんど居ませんし、そういう人に限って肛門の診察をしても便が無いんです。
お腹(腸)に便が停滞していて出口(肛門)まで降りてきてないんです。
お腹(腸)で便秘をしているんですね。
だから出口(肛門)にはトラブルがないのです。
逆に痔になったり肛門のかゆみやヒリヒリなど肛門トラブルを抱えている人は肛門の診察をすると便があります。
ついさっき出してきたのに・・・です。
患者さんによっては何度も出たのに・・・です。
痔や肛門トラブルのある人は出口(肛門)で便秘をしているのです。
これが基本的に痔になる人とならない人の排泄の違いです。
ちゃんと理由があるのです。
なんの原因もなく自然に痔になったりしません。
そして長年、痔の患者さんを診てきて、痔になっている人に共通したよくある習慣に気付きました。
多い順に紹介したいと思います。
この記事の目次
温水便座を愛用している
これが圧倒的に多いです。
なぜ愛用しているのか?
なぜ洗うのか?
理由を尋ねると「キレイに拭けないから」「紙に何度も便が付くから」という答えが返ってきます。
キレイにおしりを拭けないのは便が残っているからです。
いくら外側だけ洗っても中は便まみれ・・・。
キレイになりません。
それどころか洗うと残った便が刺激で出たり、便が飛び散ったりします。終わりがありません・・・。
そして洗い過ぎによって皮膚のバリアーがなくなり様々な皮膚トラブルを起こします。
そのような病態を温水便座症候群と言います。
詳しくはコチラの記事をお読み下さい↓↓
温水洗浄便座を使っているかどうかを尋ねるだけで便秘の診断が出来るくらい、洗っている人は出残り便秘があります。
いくら洗っても出残り便がある限りキレイになりません。
中からキレイにすることが大切です。
トイレの時間が5分以上
痔の人、特にいぼ痔(痔核・脱肛)の人はトイレが長い傾向がありますね。
トイレに入っている間、ずっと便を出そうと頑張っているわけではなく、本を読んだりスマホを見たり「ながらトイレ」の人も多いです。
ついついトイレの時間が長くなりがち。
だいたいトイレの時間は15分前後の人が多いですが、中には1時間という患者さんも結構います。
今まで診た中で一番トイレが長かった人は6時間でした。
そんな長時間トイレに入っていたら生活に支障を来しますし、人生の半分をトイレで過ごすことになってしまいます。
そんな極端な人は少ないですが、だんだんエスカレートして長くなっていくようですから5分以上の人は要注意です。
診療所で推奨しているトイレタイムは5分以内。
ドアを開けてトイレに入り、用を足してトイレから出るまでが5分です。
5分間きばってもいいですよという意味ではありません。
トイレの中に砂時計を置くことがオススメ。
トイレに入ったら砂時計を倒して、それが落ち終わるまでに排泄を終えることを目標にしてみてください。
トイレを我慢する
痔の人のほとんどに見られる出残り便秘。
この出残り便秘は便意を我慢することから始まると考えています。
便が出るためには次の3つの要素が必要です。
①便を感じる・分かる
②便意がある
③便を出せる(排出)
この中で人間が意図的にコントロール出来るのは③の便を出すことです。
便意があるということは出口に便があって出ようとしているということ。
そこで我慢するとどうなるのか?
便を肛門に挟んだまま我慢出来るようになってしまいます。
すごくトイレに行きたいけれど我慢して、あとで行こうと思ってたら全然便意が来なくてそのままその日は便が出なかった・・・
あるいは
ちょっと便意が来てトイレに入ったけどいきんでも出ない、出たけどスッキリ感がない・・・
そんな経験ありませんか?
そうやって出口に便を溜めるトレーニングをしてしまっているのです。
トレーニングすればするほど便を溜められる肛門になっていきます。
そのうち便が出口に溜まっているのが当たり前の状態になり、便があるのか無いのか分からなくなり、どんどん鈍感になっていきます。(鈍感便秘)
痔の人を診察すると必ずと言っていいほど便があります。
便がいっぱい溜まっているのに全然気付いていない、便意もない人、便がたくさん残っているのに残便感すらなくスッキリ出たと錯覚している人が多いです。
そのような人に便意を我慢しているか尋ねると思い当たることがないと答える人もいますが、今まで生きてきた人生の中で何度か、いや何度もやっているはずなのです。
小さな子供の頃、学生時代、もう思い出せないくらい昔のことかもしれません。
行きたいときにトイレを我慢したり後回しにしたりして、ピークのタイミングでトイレに入れなかったことがきっとあったはず。
トイレを我慢するところまでいかなくても、あともうちょっとしたらもっと行きたくなる・・・と思って便意が強まるのを待つ人も多いです。
今、洗い物をしてるから、全部洗い終わってから・・・
掃除機をかけ終わってからトイレに入ろう・・・
この洗濯物を全部干し終わってから・・・
などなど、何か作業中にトイレに行きたくなっても、その作業が終わるまでトイレに行かない人も多いでしょう。
そのちょっとの我慢がエスカレートするとどんどん我慢出来る肛門になってしまうのです。
そうなる前に便意が来たらスグにトイレに入るようにしましょう。
その方がスムーズにスッキリ排泄出来ます💩
夜遅く寝て朝はギリギリまで起きない
痔の患者さんの生活にも共通した特徴があります。
朝に時間と心の余裕がないのです。
忙しい人が多いですから仕方がないのかもしれませんが、毎日夜遅くまで仕事をして就寝するのは日付が変わってから・・・。
寝る時間が遅いから当然朝は起きられない。
少しでもゆっくり寝ていたい。
でなければ体力的につらい。
便通が大切なのは分かっているけど
便通よりも睡眠を優先したい。
そんな患者さんをたくさん診ています。
当然、ギリギリまで寝ているため朝食を食べる時間もなければ水分も摂らずに慌てて出勤・・・なんて人も。
そして電車の中で便意をもよおす・・・だけど出せないから我慢。
会社に着いてから出そうと思ってトイレに行ったけど出ない・・・なんてことも多いです。
朝は排便のゴールデンタイム。
この時間に出ないと丸一日便が出ないという患者さんもたくさんいます。
最近は夜型排便の人も増えてきましたが、人間の体のリズムを考えると5〜7時の腸が活発に動く時間帯に排便をする方がスッキリ排泄がしやすいです。
体内リズムに社会生活を合わせられない現代人は便秘が多いのも仕方ないのかもしれませんね💦
パンやパスタや甘いものが好き
便秘の人は意外と野菜や果物など食物線維を頑張って摂っている人が多いです。
便通に悪いからと肉を食べないようにしている女性も多いですね。
テレビで「便秘に○○がいい」と言っているのを見ればスグに○○を試し、便通に良いと言われるものをわざわざ買ってせっせと毎日食べている人も多いです。
だけど一向に良くならない痔と便秘。
診察室で患者さんから「便通を良くするには何を食べたら良いですか?」とよく聞かれるのですが、今まで散々、便通に良いものを摂取してきたわけだから、もう十分足りているのです。
それよりも「便通に悪いモノを抜くこと」をオススメしています。
抜いてもらうモノは2つ。
小麦と乳製品です。
そうお話しするとほとんどの患者さんが驚かれます。
なぜなら便通に良かれと思って毎日ヨーグルトを食べているからです。
乳酸菌を摂るためにヨーグルトを食べているのでしょうが、乳酸菌はヨーグルト以外からでも摂取できます。
それよりも乳製品に含まれるカゼインの腸に与える影響の方が悪いです。
小麦に含まれるグルテンというタンパク質と乳製品に含まれるカゼインというタンパク質が腸の粘膜を荒らし腸内バリアーを破壊し様々な体調不良を起こすことが分かっています。
腸内バリアーが破壊されると悪い物質が体に入ってきたり、せっかく摂った栄養素が漏れ出て言ってしまうことから「漏れる腸」とも呼ばれています。
このような病態をリーキーガット症候群と言います。
日本人の約7割がリーキーガットと言われるほど気付いていないだけで腸が荒れている人が多いと思っています。
痔と便秘の人(主に女性)に多い嗜好品としてパン・パスタ・スイーツがあります。
どれも小麦製品です。
おまけに白砂糖もたっぷりです😓
イタメシ大好きという人も多いですね。
患者さんには2週間完全に小麦と乳製品を抜くことをオススメしています。
それだけで便秘が治る人も実は多いです。
便秘だけではありません。
何をやっても治らなかった下痢がピタッと止まったという人がゴロゴロいます。
便秘の人も下痢の人も小麦と乳製品を抜くことをオススメしたいですね。
グルテンフリーについては以下の記事も参考にして下さい。
実践した患者さんの驚くべき変化を書いています↓↓
同じ姿勢を長時間続けている
仕事の行き帰り以外はほとんど体を動かすことがない・・・という人に便秘が多いです。
そして仕事では長時間のデスクワーク、立ち仕事など、同じ姿勢をずっと続けていて動きが少ない。
休日は仕事で疲れているから出かける気にもならず家でゴロゴロ・・・
これじゃあ便秘にもなってしまうよね・・・という生活を送っている人が本当に多いです💦
要するに運動不足なわけですが、長時間同じ姿勢を続けることは便通だけでなく体にも悪いです。
仕事上、仕方のないことなのかもしれませんが、1〜2時間に1回は立ち上がって背伸びをする、座った状態で足首を動かすなど、少しの工夫で体を動かすことは出来るはず。
本当にちょっとした工夫で日常生活が運動に変わります。
エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用する、座りっぱなしの人は電車の中では立つ、一駅分歩くなど出来ることはたくさんあるはず。
便秘は生活の結果、もっと大げさに言えば生き方と人生の結果でもあるので、そこを変えなければ便秘は治りません。
薬に頼る前に出来ることはたくさんあります。
1つでも出来ることから小さな一歩を踏み出して下さいね。
ダンナの前でオナラが出来ない
ひどい痔になっている既婚女性の特徴として「ダンナの前でオナラが出来ない」というものがあります。
(私には考えられませんが・・・😓)
もちろんダンナの前で出来ないのはオナラだけじゃありません。
排便もです。
「主人が居るときに排便出来ないので、出勤するのを待ってからトイレに入ります」
「会社が休みの日は主人が一日家に居るので排便出来ません。もし排便出来るとしたら主人がお風呂に入っている間に限られるので、その時に便意が無かったらその日は排便が無いんです。。。」
「家族旅行中は主人とずっと同じ部屋に居るので排便は出来ないですね。旅行中は何日も我慢して出さずに帰ってきて家で出しています。」
「主人が出勤するまで排便出来ないので、行きたくなっても我慢して、主人も子供も居なくなって落ち着いてからやっとトイレに入れるんです。」
などなど、信じられない生活を送っておられる美人妻に限って、オシリは悲惨なことになってます😱💦
それだけ我慢してちゃ、痔にもなるよね・・・💦
だから痔って恥じらいのある人がなる病気なのかもしれません。
そして必ずと言っていいほど美人です😮💖✨
美人は痔になるのか?と思ったくらい、ヒドイ痔の女性は美人が多いです。
うちの診療所に就職してきたスタッフが必ず驚くことに✨患者さんの若さと美しさ✨があります。
そして新人スタッフからよく聞かれます。
「先生、美人だと痔になるんですか?」って😅
そういう法則はないですが、うちの診療所では法則になってるかもしれません😓
美人の人、注意して下さいね〜💕
週に2回以上お酒を飲んでいる
飲酒と痔の関係は深いですね。
特にいぼ痔(痔核・脱肛)と痔瘻は飲酒との関係が深く、痔があるおかげで飲み過ぎバロメーターになっている人さえいます😓
「飲んでいる途中でイボ痔が腫れてくるので、腫れてきたら飲むのをやめるようにしています」
という患者さんも多いです。
「飲んだ翌日には必ずイボが腫れます」
「飲んだ翌日には排便の時に出血する」
「飲んだら膿が溜まる」
と痔が悪くなるのは分かっているけど大好きなお酒がやめられないという懲りない人も多いです😓
アルコールは軟便や下痢を引き起こしますし、体を冷やします。
痔だけでなく腰痛にもテキメン影響がありますね。
アルコールを摂取すると体から完全に抜けるのに72時間かかると言われています。
だから患者さんには「一度少量でも飲んでしまったら飲まない日を3日つくってね!」とアドバイスしています。
1回飲んだら3日あける
をしてもらうと、痔の症状が悪化せず快適に過ごせている人が多いです。
だけど大出血したときは完全に禁酒をしてもらっています。
それだけでピタッといぼ痔(痔核・脱肛)からの出血が止まる人も多いです。
お酒を飲むとうっ血しますからね・・・。
いぼ痔(痔核・脱肛)の場合はテキメン影響が出やすいです。
そしてお酒をやめると下痢が止まったり、軟便だったのがしっかりした便が出るようになって、1日に何度も軟便が出ていたのがピタッと止まり1日1回スッキリ出るようになるなど、便通も変わる人が多いです。
毎日お酒を飲んでいると胃腸の中はアルコール消毒されているようなもんですし、肝臓や膵臓はアルコールを分解するのにフル稼働してますから、内臓にも負担がかかります。
一度飲まない生活をすると体調の良さに驚かれます。
良く眠れる
腰痛がなくなった
肩こりと頭痛がない
肌のカサカサがなくなってしっとりモチモチ美肌になった✨
など、他にも嬉しいオマケがたくさん付いてきます。
一度抜いてみるのもいいですよ😊
以上、痔になっている患者さんに共通するよくある習慣を挙げてみました。
ということは、この逆のことをすれば痔になりにくいとも言えるわけです。
痔は生活と排泄の結果です。
だとしたら痔にならない習慣を身に付ければ痔を予防する、さらには痔にならない人生を手に入れることが出来るかもしれません。
参考になれば幸いです。
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
ベルを鳴らす練習をしています🐶
ちょっとコワイ・・・💦
元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科専門医。現在でも肛門科専門医の資格を持つ女性医師は20名余り。その中で指導医の資格まで持ち、第一線で手術まで担当する女医は10名足らず。元皮膚科医という異色の経歴を持つため、肛門周囲の皮膚疾患の治療も得意とし、肛門外科の医師を対象に肛門周囲の皮膚病変についての学会での講演も多数あり。
「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。自由診療にもかかわらず日本全国や海外からも患者が訪れている。大阪肛門科診療所(旧大阪肛門病院)は明治45年創立の日本で2番目に古い肛門科専門施設でもあり日本大腸肛門病学会認定施設。初代院長の佐々木惟朝は同学会の設立者の一人である。
2017年10月には日本臨床内科医学会において教育講演を行うなど新しい便秘の概念を提唱。