手術よりも便秘の治療

(2018年9月6日加筆修正)

本当は手術が得意なつもりの大阪肛門科診療所 院長の佐々木巌です。

大阪肛門科診療所は手術を避ける技術を大切にしている肛門科です。

よその医療機関で手術だと言われた、しかし手術したくないという患者さんが多く来院します。

そういう方に、手術以外の方法を提案する努力をしています。

こんな疑問が聞こえてきそうですね。

「手術を勧めないなら、どうするんだ?」
「薬で治療するのか?」

うーん、半分アタリ、半分ハズレ、かな?

そんなお話しです。

痔治療のキホンは便秘治療

手術を勧めないと書くと、「特別な薬で治療するに違いない」と考えて来院する人がいます。

それは、かの有名な「誰にも知られずに痔を治す薬」と同じ立ち位置ですね(苦笑)。

当院の立場は違います。

アタマを使って痔を治す、あるいは痔と付き合う、と言ったら良いでしょうかね。

大阪肛門科診療所の治療はもっともっと基本的なこと、排便の治療です。

当院は今よりも少し快適に痔と付き合えるように多くの患者さんに排便の治療を提案しています。

痔の治療の基本は便通管理とされています。
どの教科書にも必ず書いています。

考えたら分かります。
痔の症状は排便にまつわるモノ、排便が快適にできないのが痔なのですから。

ただ、当院の場合はもうちょっと突き詰めている、という意味合いでしょうか。

痔になる方の多くは、排便がうまくいっていません。

ご本人が自覚していようが、いまいが、関係なく、です。

トラブルの多くは、排便が不完全なこと。

例えば今朝ちゃんと排便したのに、まだウンチが肛門のすぐ上のところに残っているといったことです。

そのウンチ、最初は「残ってるなー」という感覚(残便感)があるはずです。

でもしばらく時間が経つとその感覚はだんだん弱くなり、いずれ忘れてしまう。

でも出残り便は次の排便までそこにあるわけです。

残りウンチが長時間滞在する間に、先ほどの「残ってるなー」の感覚が鈍感になってきます。

毎日これを繰り返せば、当然もっと鈍感になってきます。

鈍感になってくると、さらにもっとたくさんウンチを残しても平気になってきます。

悪循環ですね。

残ったウンチは色々な悪さをします。

肛門をうっ血させます。

直腸に滞在している間に水が吸収されますから、その部分だけ硬くなります。

便の出始めだけが硬い人、いませんか?

残ったウンチの仕業だと思います。

ウンチが残っている人と、残っていない人、肛門の周辺にばい菌が多いのはどっちでしょう?

はい、ウンチが残っている人ですね。

切れ痔のキズ口にばい菌がついたら、炎症が悪化して痛みが強くなります。

肛門腺に入ったら・・痔瘻になるはず。

出残り便秘®、鈍感便秘®について

さきほど、ウンチが残った状態がまず悪い、さらにその状態が続くことにより鈍感になってしまうのも悪いと言いました。

私たちはこの状態を出残り便秘®鈍感便秘®と呼んでいます。

このネーミング、気に入っています(笑)。
何が起こっているか、すぐ分かるでしょ?

先に示したように出残り便秘®鈍感便秘®は互いにリンクしています。

あと、出残り便秘®は排便の回数とは無関係です。

毎日排便している人でも出残り便秘®である可能性はあります。

むしろ、毎日何回も排便する人ほど出残り便秘®である可能性が高いのです。

便通のこと、突き詰めるとこんな考え方になるんじゃないかな、ということです。

なお、大阪肛門科診療所が主張している「出残り便秘®」「鈍感便秘®」は医学の世界では主流の意見ではありません

非主流、或いは異端と言っても良いかも知れません(苦笑)

肛門科を含め、当院以外の医療機関では全く認知されていない考え方ですので、ご了承ください。

たとえ異端と言われてもこっちの方が真理に近いと、思ってますけどね。

ほとんどの医療機関では、「便秘=腸の不調」と考えて飲み薬で対処します。

しかし肛門科で扱う便秘は、ほとんどが肛門や直腸に原因があるんですよね。

対処だって腸の便秘とは違うんですよね。

患者さんは「便秘=腸」というイメージを持っていたとしても構わないんです。

でも医者はね、「肛門までが腸だ」って思わないといけないんですよ、ホントはね。

欧米では何十年か前に肛門科医を意味するproctologistという呼称から大腸直腸外科医を意味するcolorectal surgeonという表現に変化した歴史があるようなのですが、それは「『肛門』だとイメージが悪いから『直腸』にしよう」という理由だった、という話を読んだことがあります。

医者が自らの仕事のイメージアップのために、仕事の名称を変えたわけです。

当然仕事の内容まで変えるつもりはなかったはず・・なのに、いつの間にか医者自身までもが自分のことを「直腸外科医」だと思うようになり、自分達は本来「肛門科医」であるという意識を忘れていってるんじゃないか?

そんな風に、ちょっぴり危機感を持っています。

・・すこし愚痴が入りました。
失礼しました(笑)。

やるべきことをやって、それから薬

それで、薬のことに話を戻しまして。

どんな薬でも、やるべきことをやって、その後に薬を使うというのが本来の使い方だと思うんです。

やるべきこともやらないで薬を使ったって、得られるべき効果は得られないんじゃないかと。

例えば、風邪を引いた、十分休んだ、その上で薬を使うのが本来の考え方です。

ちゃんと休みもせずに、薬だけ飲んで仕事していたら効かないし、しんどいのは当たり前ですよね。

で、もっと効果の高い薬が欲しくなるのです。

メーカーさんもそういうニーズに合わせて薬を開発する。

確かにそういう薬を使うと一時的に働けるのですが、やっぱり身体は休みたがっているんじゃないですかね。・・・身に覚えのある話ですね(汗)。

おしりでも全く同じだと思います。

やるべきこと(=ちゃんと排便すること)をやらないで痔の薬だけ使っても効かないんじゃないでしょうか。

ちゃんと出ていない、つまりウンチまみれのところに薬を入れているわけですな。

こりゃ、効かんわい(笑)。

正直、ちゃんと排便してもらうと痔の薬の出番は激減します。

というか、当院では痔の薬はほとんど使っていません。

便通の治療がちゃんとできていると、痔の薬は使っても使わなくても、ほとんど症状は変わりませんからね。

・・これってホントに痔の治療?

いえいえ、便秘の治療なんですよ、ってことで(笑)。

さいごに

そんなわけで、大阪肛門科診療所は便秘の治療を主体とするようになり、段々と手術をお勧めしない肛門科になってきました。

さらに痔の薬もあんまり使わない肛門科です。

やっているのは便秘の治療です(笑)。

でも、付き合うのが困難なほど症状がキツければ、手術を考える患者さんもおられます。

手術はそんな風になってからが考えるのが、一番正しいと思います。

やることをやって、それでも「もうイヤ!」ってなったら、手術もOKかな、と思います。

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