手術後の安堵の言葉、あれこれ

安堵で出てくる言葉は共通

(2018年9月8日加筆修正)

オレって性格悪いかも、と思うことがある大阪肛門科診療所 院長の佐々木巌です(笑)。

ほっと安心した患者さんが思わず漏らす言葉って、意外に共通のことがあります。

私たちにしたら嬉しい、そしてちょっぴり誇らしいご感想です。

今日は少し自慢させてもらおうかな(笑)。

もう終わりですか

手術が終わったときに、ときどきこんな風に患者さんがおっしゃることがあります。

「え?もう終わったんですか?」

こんな風に書いたら私が手術速いんだと思うかも知れません。

私、全然手術速くないです。

言い訳すると、速いことよりも、丁寧なことを優先してきましたので。

手術のスピードは意識的に速くなろうとしないと、速くはならないと思います。

逆に意識すれば、私でももう少し速くもなれるかな・・?

保険診療の過酷な環境で手術している先生は、スピードはものすごく鍛えられるでしょうね。

実際、速い先生はたくさんおられます。

で、私は別に手術が速い医者じゃないんですけどね。

でも術式によっては私でも早く終わります。

終わってみると「あれ?」ってくらいに時間が経っていないこともあります(笑)。

そういうのは、大抵は日帰り手術のときです。

日帰り手術で採用している術式って、技術は必要だけれど、やること自体はシンプルなんです。

このシンプルがくせ者で、「簡単」に見えちゃうんですけど・・

簡単なのかなあ。
私は難しいと思ったけど。

難しいという気持ちを忘れてしまったら、手術の神様にそっぽを向かれるような気がして・・(笑)

手術って、カンや経験といった「おのれを信じる」気持ちと、謙虚というか「祈り」の気持ちの両方が必要なんだと思っています。

「祈り」を意識するようになったのは、増田芳夫先生に教えていただいた、元京都大学外科学教授・青柳先生が言ったという「手術は祈りである」という言葉から。

自分の中で「未熟な私には手術の神様の助けが必要なんです」という人智を越えた何かを信じる気持ちと言いましょうか。

「自分の力で何とかしてやる」みたいな気持ちになってしまっているのに自分で気付いた時には、「イカンイカン、謙虚な気持ちを忘れたらイカン」と引き戻しています・・

話が横道にそれましたね。

多くの患者さんがガチガチに緊張して手術室に入ってきます。

そんな患者さんに対して私たちは、準備をごそごそ・・

患者さんにしたら、何やってるか分かんないし、手持ちぶさたで不安は高まるし、麻酔がチクチク痛いなあ・・と手術は進んでいきます。

少し違うのは、当院の場合は数年前から手術室にはセラピードッグのラブがいることです。

犬を見ながら、触りながら気を紛らわしているからでしょうか。

手術終了時に、

「終わりでーす」

と声をおかけすると、

「もう終わったんですか?」

と言っていただくことがあります。

「ええ、終わりました。なに?物足りない?もっと続けた方が良い?」

「いえいえ、もう結構です。」

そりゃそうだ(笑)

心配していたのより痛くない

入院で手術した翌日の患者さんによく言っていただきます。

決して全員ではありません、ご注意ください(苦笑)。

手術翌日の診察で私が大事にしている3つの質問は以下の通りです。

「眠れた?」
「便出た?」
「痛くない?」

いずれも痛みに関するものです。

くどいかも知れませんが、ちょっとだけ解説します。

本当に強い痛みがあると人は決して眠りません。

逆にウトウトでも眠れる人は、その瞬間痛みを忘れているものです。

だから眠れたかどうかは痛みの大切な指標だと思っています。

また、排便は手術患者さん達が一番心配することです。

痔手術の経験者に「手術後1回目の排便は地獄の苦しみだぞー」とか脅されている人も多いです。

痛いとは思うけど、地獄ってねえ・・・そこまで言わなくても(苦笑)

当院は残便を残さないような排便を指導しています。

便が残っていると痛むし、残便がなければ痛みはあったとしても、マシになるからです。

排便(残便)は今日の痛みと場合によっては明日の痛みの原因になったりします。

そんなわけでいつもこの3つの質問を入院患者さんにしています。

そういう質問をしたときに、

「心配していたのより、全然痛くないんですよ(笑)」

と言ってくださる方も結構おられます。

とても嬉しい瞬間です。

・・笑顔でこうおっしゃる方がほとんどなのですが、以前に

「先生、私全然痛くないんですけど、大丈夫?」

と真顔で聞いてきた患者さんがおられました(苦笑)。

私も、つい

「え?心配?物足りない?もうちょっと痛い方が良かった?」

と、とぼけて、ふたりで大笑いしたことがありました。

入院患者さんとは、こんなやり取りが良くあります。

え?
日帰りの人はどうなのって?

・・ええ。痛がってる人が多いです(苦笑)

痛くて普通の術式ですからねえ・・

この辺の話は、またの機会にしましょうか。

戻さなくて良いんだ!

入院か日帰りかを問わずなのですが手術して治った患者さんに時々言われるのが

「あー、もう戻さなくて良いんだ、って思い出すんですよねー」

という言葉。

いぼ痔あるいは脱肛と呼ばれる病気では、排便したときに、普段は肛門の中に収まっている痔のふくらみが肛門の外にでっぱってきます。

でっぱりは初めのうちは放っておいても勝手に肛門の中に収まります。

ところが悪化してくるとでっぱりは大きくなり、手で押し込まないと中に戻らなくなってきます。

中に戻さないで放っておくと、通常痛みます。

だから戻さざるを得ないのですが、これを繰り返して、手で戻すのが習慣化している方が多いのです。

冒頭の言葉は、手で戻す習慣がすっかり無意識のレベルにまで刷り込まれた人が発する言葉ですね。

「無意識のレベル」って、どんだけ深い刷り込みやねん、って感じですが(笑)。

最近もこれをおっしゃった方がおられました。

「なんだか、以前だったら排便が終わったら『戻さなきゃ』って思って、オシリを押さえていたのですが、手術してからそれがないじゃないですか。『ああ、そうだ。手術したから戻さなくて良いんだ。』って、思い出して。なんだかへんな感じです。本当にずーっと痔だったので、痔じゃない状況を忘れてしまっているんですよ。まだ慣れないんですねえ(笑)。」

それを聞いて、待ってましたとばかりに、私。

「へえ、そりゃ物足りんかな?いぼ、ちょっとくらい残しといた方が良かったですか?」

あはは。
そんなわけないか!

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