遠方の方の尖圭コンジローマの治療について

(2018年10月15日加筆修正)

扁平コンジローマの診断経験がある大阪肛門科診療所 院長の佐々木巌です。

扁平コンジローマというのは梅毒に伴ってできる皮膚病変です。
今回の話題である尖圭コンジローマとは全く別の病気です。

肛門科で最初に診断することは近年ではまれ(のはず)なので、自分でもよく診断できたものだと、当時胸をなで下ろした憶えがあります。

ずっと疑問だったのですが、尖圭コンジローマ扁平コンジローマは、見た目も特に似ているわけではありませんでしたが、両者には「コンジローマ」という共通の名前が付いています。

このコンジローマという言葉の意味を、実は知らない事に気付いて調べてみました。

すると、
Condyloma refers to an infection of the genitals.
とありました。

「コンジローマとは外性器の感染症のことを言う」とのこと。

これまで、皮疹に何か共通する特徴があるのだろうと思っていたのですが、なるほど、共通項は「感染症である」ということですか。

予測はすっきり裏切られましたが、納得です(笑)

遠方の方からの尖圭コンジローマの治療について質問

さて、この度遠方の方から

尖圭コンジローマ治療が可能なのか?

費用はいくらかかるのか?

という主旨のご質問がありました。

今回はこのご質問にお答えします。

尖圭コンジローマとはウイルス性のイボ

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスというウイルスが感染してできるイボです。

ごま粒くらいのブツブツで、単発〜数カ所という軽症から酷くなるとカリフラワーのように文字通り肛門の周りに山を作るケースまであります。

もちろん、カリフラワーはごま粒のブツブツの集合体です。

尖圭コンジローマは教科書的には性行為感染症(つまりセックスで伝染する病気)とされています。

男性の陰茎、女性の膣、肛門、指先に多いとされています。

肛門にできる場合はアナルセックスの既往が多く見られるとされていますが

当院ではセックスを介さずに温水便座で感染するケースも経験しています。

詳しくはこちらをご覧ください

肛門にできる尖圭コンジローマについて

尖圭コンジローマの標準治療は、まず軟膏治療

尖圭コンジローマの診断がついたら、適応があればまず軟膏治療を行います。

この場合の適応とは、肛門の中にコンジローマのブツブツがないことです。

肛門の中には塗ってはいけないことになっているため、外側のみのコンジローマに適応があります。

そんなわけで、肛門性交により感染した尖圭コンジローマで、肛門の中や直腸にまで皮疹がある場合、軟膏治療ができないケースが多くなります。

ちなみに当院ではこの軟膏治療を行っていません。

この軟膏はとても高額で、自由診療の当院で扱うには高額すぎるのです。

保険診療で行える標準治療なので、保険診療の肛門科で処方してもらった方が患者さんの費用負担も軽くすむため、当院の仕事ではないと考えたからです。

軟膏治療がダメなら手術治療

軟膏治療ができない場合や無効だった場合には手術治療を行います。

実は軟膏治療が行われるようになったのはこの10年以内のことで、それ以前は手術が唯一の有効な治療法でした。

手術で何をするかというと、尖圭コンジローマのブツブツをひとつずつ切り取って電気メスで焼くのです。

ウイルスは熱に弱いので、液体窒素のように冷却する治療よりもこちらの方が確実です。

レーザーも有効だという意見もありますが、私自身が以前にレーザーで手術して多くの再発を経験したため、個人的には有効性に疑問を持っています。

経験上電気メスの方が確実だと考え現在の方法に落ちつています。

電気メス治療の欠点はキズの深さです。

熱を加える深さがレーザーに比べて深くなるので、痛みが強いとか、瘢痕を作って肛門が狭くなる可能性があるといった欠点があります。

手術治療はまるでモグラ叩き、何度でも叩く

手術治療をするときによくある誤解が、「一度手術したら完全に治るのだろう」というもの。

残念ですがそんなことはありません。

手術の時点で目に見えなくらいの小さな感染があったら、その部分は後から膨らんでくるのです。

膨らまないと病巣だと認識できませんから処置もできません。

「予防的に肛門の周り全部を焼けないのか?」と思うかも知れませんね。

残念ですが、そんな残酷な手術、私はお引き受けできません(苦笑)

そんな風にはしない方が良いと思いますよ。

しかも手術後の肛門は傷だらけです(当たり前ですね)。

もしもウイルスが残っていたら、とても感染しやすい状態です。

そんな理由もあって、怪しいところは全部焼く、

でも大丈夫なところは焼いてはいけないのです。

遠方の方の治療は可能か?

遠方の方に関しては、まず地元の肛門科専門医に受診して標準的な治療を受けることをお勧めします。

可能なら軟膏治療を受けることになるでしょう。

それで良くなるなら一番それがラクチンで、安価です。

治らなければ手術を考えるのですが、手術をすること自体は当院でもできます。

でも結論を言うと、尖圭コンジローマに関しては遠方の方は術後の通院が難しいと思います。

それは、通院の頻度と、何度来れば良いのか全く予測がつかないからです。

当院の場合は手術のキズが治るまでは週に1回来てもらいます。

キズが治るのを確認するとともに、再発があれば処置をするつもりで来てもらうのです。

先に述べた通り、術後は感染しやすいので用心しても、し過ぎることはありません。

そして、再処置は早ければ早いほど有利です。

仮に手術するとして費用はいくらくらい?

以下の費用がかかります。

診察費用
初診は約3万+薬代
再診は約1万+薬代

術前検査
約2万5千円

手術代
手術42万+麻酔料他5万

(2018年8月現在)

ちなみに手術代は治るまでの手術代です。

モグラ叩きのように何度も処置が必要な方も多いのですが、最初に手術代を頂いたら、治るまで何度再処置をしても通常同様の診察の費用は頂きますが、追加で手術代は頂きませんのでご安心ください。

洗いすぎで悪化させている人もいる

あれ?おしりって洗った方が良いんじゃないの?
と思ったアナタ。
そう、以前はそう言われていました。

ところが最近はそうでもないのです。
特に大阪肛門科診療所周辺でその傾向が強いのですが(笑)

詳しくはこちらをご覧ください。

肛門にできる尖圭コンジローマについて

 

さいごに

以上、ご自身の治療を考える参考になれば幸いです。

良い治療に巡り会われますよう祈ります。

もちろん、困ったら受診して頂いて結構です。
その時には当院なりに最良の治療を考えます。

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