痔になる人はどんな人? 〜一般的な常識を覆す衝撃的な事実〜

(2018年9月9日加筆修正)

大阪肛門科診療所 肛門科女医で専門医・指導医の佐々木みのりです。

座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事をすると痔になりやすい

妊娠・出産で痔になる

きばって便を出すと痔になる

お尻を不潔にしていると痔になる

便秘をすると痔になる

世間でよく言われていること、患者さんが実際に診察室で話されたことを書きだしてみましたが、これ以外にも痔にまつわる「○○をすると痔になる」という方程式みたいなものがあるかもしれませんね。

ある意味、全部正解とも言えるし、間違っているとも言える(笑)

「○○をすると痔になる」

というと、あたかも「○○が悪い」みたいに思っちゃうんですが、冷静になってよーく考えてみましょう。

座りっぱなし・立ちっぱなしは確かにお尻に負担がかかりますが、じゃあ、座り仕事・立ち仕事の人が全員、痔になってるのか?というと決してそうではありません。

勤続30年、座り仕事をしてきた人で全く痔がないキレイな肛門の人もいます。

座り仕事・立ち仕事をしていないのに痔になっている人もいます。

妊娠・出産で痔になるのであれば、妊娠・出産を経験した世の女性たち全員、痔になってるはずですが、実際は違います。

8人子供がいる80代の女性でも、全く痔も何もないキレイな肛門をしているおばあちゃんもいます。

反対に妊娠・出産の経験のない女性でも、立派な脱肛(痔核・いぼ痔)を作っている人もいます。

きばって便を出すと痔になるのであれば、世の人々すべてが痔になっているはずです。(笑)

そもそもきばらないと便は出ません(苦笑)

どの程度きばっているのかは実際にトイレに一緒に入って、きばっているところを観察する以外に確かめる方法もないですし、そんなこと、家族といえどしませんよね(苦笑)

 

「お尻を不潔にしていると痔になる」と思い込んでいる人が本当に多いですが、今は逆です。

洗いすぎて痔になってます。

はい。洗えば洗うほど、お尻はキタナクなります。

温水の水圧で切れ痔(裂肛)を人工的に作っている患者さんも多いです。

私はこれを「ウォシュレット切れ痔」と呼んで普通の切れ痔と分けて考えています。

この話は引っ越し前の私のAmebaブログ「みのり先生の診察室」にも書きました↓

洗いすぎたオシリ

危険なトイレ習慣ー「過剰衛生」について

なぜ洗いすぎるとかゆくなる?

洗い過ぎによって起こる病気

 

「便秘をすると痔になる」

これは確かに正解です。

ですが、皆さんが考えている便秘とは少し違うかもしれません。

だってね

痔になって大阪肛門科診療所に来られている人の8割くらいは毎日便が出ている人です。

毎日出てるから自分が便秘であるという意識は皆無です。

そりゃそうですよね(苦笑)

病院に行っても「なんで来たの?何しに来たの?」と首をかしげられるでしょう。

「○○をすると→痔になる」ではなく「痔になっている人が何をしているか?」で考える方が「事実」に基づいた「原因と結果」が分かりやすいかもしれません。

 

出口の便秘・肛門の便秘

今までのAmebaブログでも書いてきましたが、痔になっている人の多くに「肛門や肛門のすぐ上の直腸に便が溜まっている状態」が確認出来ます。

私たちは患者さんに「出口の便秘」「肛門の便秘」と分かりやすい言葉にかえて説明しています。

この便秘の考え方は教科書に載っている「直腸性便秘」と少し違うため、大阪肛門科診療所特有の考え方なのかもしれません。

一つの意見、考え方として参考にしてみて下さい。

何か解決の糸口になるかもしれません。

 

出口に便が溜まっているパターンとしては2つあります。

毎日出てても残っている出残り便型の便秘(出残り便秘®

便が溜まっているのに、なかなか便意が来ない鈍感な肛門になってしまっているタイプの便秘(鈍感便秘®

どちらか一方の便秘の人もいれば、両方の便秘の人もいます。

また溜まっている便の量も患者さんによって随分違います。

どれくらい便が溜まったら肛門にトラブルが生じるのか?

どんなトラブルが生じるのか?

も人によって違います。

ある人は、ちょっとカスのような便が残っただけで肛門がかゆくなったり(肛門そう痒症)しますし、

ある人は、便が残った不快感はないけど残った便が古くなって固まってしまい、翌日出始めの便が硬くなって切れてしまい切れ痔をずっと繰り返している、

ある人は、便がそこまで来ているのは分かるけど、なかなか出ないのでトイレでついつい頑張ってしまって肛門が腫れていぼ痔が出てくる

ある人は、食べるたびに便が出るから自分は快便だと思っていたら、立派な脱肛になっている

ある人は下着に便が付くから「便漏れ」だ、きっとお尻のしまりがゆるいんだ・・・と悩んでいたら、ただ単に残った便が付いていただけだったり、

ある人は、痔瘻って下痢の人がなるのだと思っていたら、下痢なんてしてないのに残便が原因で肛門が化膿したり、

人によって肛門に起こるトラブル(痔)は違いますが、原因は同じ、間違った排泄なんです。

「間違い」というのは一般的な「間違い」ではなく、「あなたのお尻にとっての間違い」であるというところがポイントです。

同じように便を溜めたからって全然平気な人もいますし、ちょっと溜まっただけで肛門の調子が悪くなる人もいます。

体力に差があるように、肛門の強い・弱いもあるでしょう。

だから

どれくらいの量の便を溜めたら痔になるのか?

何時間、何日、便を溜めたら痔になるのか?

どの程度きばったら痔になるのか?

それも人によって違うでしょう。

でも確かなことは今、肛門にトラブルを抱えているということは、今までやってきた排泄習慣の何かが間違っているということ。

そこを治さずに痔の治療はありえないと考えています。

痔の根本治療は薬でも注射療法でも手術でもなく痔の原因となった便通を直すこと

だから痔を治すには薬・・・じゃないんです。

薬を使ったら一時的には良くなるでしょう。

でも、その間違った排泄を直さなければ何度でも痔を繰り返します。

 

注射療法も同じです。

私たちは注射療法による合併症・後遺症をたくさん診てきたので注射療法は行いません。

そのことについても以前のAmebaブログでも書いています↓

私が注射療法をやらないワケ

注射療法の限界

講習さえ受ければ誰でも使える注射療法

ジオン注射の後遺症

 

手術ですら痔の根本治療ではないと考えています。

手術は出来てしまった痔を無くすことは出来ますが、手術しても便通は直りません。

だから間違った排泄を続ければ、何年か経ったらまた痔になってるんです。

痔は何度でも繰り返されます。

よく痔のせいで便が出にくいって思っている人がいますが、逆ですよ。逆!(笑)

便が出にくいから痔になったんです。

その便通を直さなければ何度でも痔を繰り返します。

今度なる痔が前回と同じ痔とは限りません。

前回はいぼ痔(脱肛・痔核)だったけど、今回は切れ痔(裂肛)かもしれないし、数年前は痔瘻で手術したけど、今回はいぼ痔(脱肛・痔核)というケースだってたくさんあります。

薬も注射療法も手術も根本的な解決になりません。

根っこの部分をちゃんと突き止めて、そこを絶たなければ、また同じ結果(痔)が生まれます。

 

だから私たちは、真っ先に手術を考えるのではなく、間違った排泄習慣を改めることから始めます。

それだけで痔は無くならなくても、痔に伴う症状(出血や痛み、脱出など)が無くなってしまうことが多いです。

 

手術を望んでいるのであれば受けられたらいいでしょう。

でも、手術をしても何も解決しません。

 

排泄は生きていく上で死ぬまで一生続く行為です。

ここを根本的に改めなければ、またお尻は故障します。

痔は病気ではなく「お尻(肛門)の故障」だと考えると分かりやすいと思いますよ。

車なら故障したら新車に出来ますが、お尻(肛門)は新しいものに取り替えることが出来ませんから、何度も修理せずに、大事に使って行くことを考えてみて下さいね♪


診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
犬のようちえんで
色々な芸を仕込まれています🐶
これは足をまたぐ練習♪

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