痔の治療で便が垂れ流しに?!

今まで一度も白髪染めを含め、髪を染めたことがない大阪肛門科診療所 肛門科女医で専門医・指導医の佐々木みのりです。

大阪肛門科診療所のホームページにお問い合わせフォームを設けています。

これは元々は海外からの受診に際し、時差などの関係で電話が出来ない患者さんのために設けました。

海外から受診するに当たって、前もって聞いておきたいことが色々あるでしょうから、海外の患者さんからは、すごく助かると言って頂いています。

この問い合わせフォームに日本国内の患者さんからの相談も結構あります。

ホームページに記載しているように、無料相談ではありませんので、お答えしません。ご了承下さい。

あくまでも受診に際しての問い合わせです。

そもそも見てもないのに診断も出来ませんし、どうすればいいかと聞かれてもアドバイスのしようがありません。。。

答えに窮するような内容の質問もあり、メールの返事を考えるだけで1時間近くかかってしまうこともあります。

日頃の診療に差し支える場合は返事を控えさせて頂いております。

日常業務の多忙な中、返事を書いていることをご理解頂けると助かります。

痔の治療をしてから便が垂れ流しに?

お問い合わせフォームに次のようなメールが届きました。
(一部省略しています)

88歳の母です。

痔というので近くの肛門科を紹介してもらい受診し、ポステリサン軟膏と便が柔らかくなる薬を処方されました。

それからずっとタレ流し状態になりました。

お尻の周りにデキモノがあり、座るとそれがあたるのか、座ることもできず、ずっと痛がっています。

明日予約して診察を受けたいのでメール入れました。

 

娘さんからのメールでした。

娘さんが付き添って受診されるとのこと。

88歳という年齢だし、もしかして要介護状態で肛門のしまりも悪く、オムツを普段から当てているのかもしれない・・・と想像していたら・・・

むっちゃ若い!!😱

ヘタしたら70歳くらいに見える!!

腰も曲がってない
杖もついてない
補聴器もしてない

長身でスラッとした美人のおばあさん(というのも失礼なくらい)でした。

メールを読んだときは「垂れ流し」は大げさだな・・・と思ったんです。

でも・・・

本当に垂れ流しでした(T_T)

オムツを当てて来られていたのですが、軟便・下痢便で汚れていました。

自分の意思とは無関係に漏れると・・・

このお歳だし、普段からオムツを当てているのかお聞きしたら、今まで全くシモのことで悩んだことは一度もなく、痔を患ったこともないとのことでした。

診察すると垂れ流しなのに便塊が肛門に挟まっていました。

いや、便塊が肛門を塞いでいるから垂れ流しなんです。

肛門のしまりは全然悪くない。

ブログを読んで下さっている読者の皆さんは分かりますよね?

そうです!

便栓塞です!

いわゆる「糞詰まり」です。

出口の詰まりを取らずに下剤を飲んだから垂れ流し現象が起こってしまったんです。

下痢便が便塊をすり抜けて出てくるんですよ。

下剤は出口の便を軟らかくしてくれません。

これから作られる便を軟らかくすることは出来ますが、既に出来上がって出口まで来ている便や、出し残した出残り便には効かないです。

そして痔は・・・ありませんでした(-_-;)

患者さんが「デキモノ」と表現したものは、便が詰まったことによって肛門が腫れていただけでした。

摘便と壮絶な便出しは、まるで出産のよう?!

便が詰まってしまうと、詰まりを取ってあげないと浣腸しても坐薬を入れても便を出すことが難しいです。

だから摘便をするのですが、お尻が腫れているので痛いです。

それでも出さないと何も解決しないので心を鬼にして頑張ります。

一気に大量の便を出すと血圧が下がって心停止を起こすことがあるので、年齢を考えて、少しずつ少しずつ、便をほぐしながら出しました。

何度かに分けて出して、トイレに行っていきんでもらって、トイレで出ない分は診察室で摘便しながらいきんで出してもらって・・・

ご本人もつらいし、痛いから唸り声も出てしまいます。。。

その光景を近くで見守っていた娘さんが

「まるで、お産みたいですね」

と一言。

そうなんです。

お産とよく似てます。

出てくるモノも出てくる穴も違いますけどね(^^;)

便を出したら普通に座れる〜!!

2時間近くかかったでしょうか。。。

やっと全部排出終了!

そしたら・・・

普通に座れる!
座っても痛くない!!

すごく喜んでもらえました。

診療所の門をくぐった時は痛くて待合室でも座れなかったのに。

あまりにも肛門が腫れぼったくて痛いから、ご本人も周りのご家族も痔だと思われたようです。

肛門が痛いからって痔とは限りません。

今回のケースのような便栓塞便が溜まってるだけということも本当に多いです。

そして便をちゃんと排泄したら、こんなにも楽になるのかと皆さん、感動されます。

便栓塞の場合、その場で結果が出るので、私たちもやりがいのある診療の一つ。

以前は摘便をすると便のニオイが立ちこめて診察室がトイレ状態になっていたのですが、強力な脱臭機のおかげで、診察室で摘便をしてもニオイが気になりません✌

出口の便には下剤は効かない

便秘には下剤という認識があるようですが、出口の便秘には、どんな下剤も腸活も効きません。

下剤はお腹(腸)に効きます。

便通に良かれと思って摂取した食物線維も、乳酸菌などのサプリメントも、腸に効くんです。

これから作られる便の材料になったり、腸の運動を助けたりすることは出来ますが、既に出来上がって出口(肛門)まで降りてきている便や、出し残した出残り便には効きませんよ。

腸はちゃんと動いているのに
出口で便が停滞しているだけなのに

口から何を飲んでも同じです。

必要の無い下剤を飲むから下痢になるんです。

便秘なのに下痢
下痢なのに便秘

というケース、本当に多いですね。

どこに便が停滞しているかで治療が違います。

お腹(腸)なのか
出口(肛門)なのか
両方なのか

それによって治療が異なります。

意外と知られていない出口の便秘

もっとたくさんの人に知って欲しいですね。


診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
足にタッチするトレーニング♪
どんどん新しい芸を仕込まれてますが
家では、やってくれないんですよね〜💦

,
1 いいね 12 件のいいね
Loading...
  • このエントリーをはてなブックマークに追加